大学院生活

東北大学大学院 生命科学研究科の入試や学生生活について|卒業生の口コミ

私は2018年4月に東北大学大学院 生命科学研究科に入学し、2019年9月に博士前期課程を修了しました。

生命科学研究家は農学部・理学部・医学部・関連研究機関などに所属するラボが集まってできており、その名の通り生命科学現象に関する様々な分野の研究をすることができます。

この記事では今後同大学院へ進学を検討される方へ向けて、研究科の雰囲気や進路状況、入試対策などについて解説します。

生命科学研究科は外部進学者も多い

意外なことに、私のいた学年では内部進学者・外部進学者(他大学の学部を卒業して、東北大へ進学した人)の割合がほぼ1:1でした。

内部進学者のほとんどは学部時代の研究室に引き続き所属をし、外部進学者の大半も学部時代と関連のある内容。外部進学者のうち数人が分野を大きく変えた進学をしていました。

旧帝大で外部進学者がここまで多い研究家は珍しいのではないでしょうか。

実は東北大は古くから「門戸開放」というスローガンを掲げています。生命科学研究科には外部進学者のための「自己推薦入試」というものが用意されているのですが、おそらくこれも門戸開放の施策の一環だと思います。

一般入試では

  • 英語(TOEFL PBTか事前に受けたTOEICのスコアを提出)
  • 専門科目(以下の8科目中から1科目)
  1. 有機化学
  2. 生化学
  3. 分子・細胞生物学
  4. 植物発生・生理学
  5. 脳・神経科学
  6. 進化生態学
  7. 生態学
  8. 微生物学

が問われるのに対して、

自己推薦入試では

  • 英語
  • 口頭試問

の2科目であるため、筆記での点差がつかない分、多様な方が合格される可能性が高いです。

口頭試問では学部時代の研究について10分程度プレゼンをし、5分程度の質疑応答を行いました。

現在はオンラインで開催されているようですが、従来と内容にそれほど違いはないと思います。

私の時は口頭試問の際の面接官は3名で、

  • 志望する指導教員
  • 同専攻の教授
  • 異専攻の教授

でした。

ここでいう専攻とは、研究科内でのサブグループのことです。

生命科学研究科には「脳生命統御科学専攻」「生態発生適応科学専攻」「分子化学生物学専攻」の3つの専攻があります。

脳生命統御には神経科学系の研究室が、

生態発生適応科学にはいわゆるバイオロジーの研究室が、

分子化学生物学にはケミストリーの研究室が入っています。

どの専攻に入るかで履修すべき授業などが微妙に変わりますが、カリキュラムの大枠にはそれほど違いはありません。

試験科目に話を戻すと、英語の足切りはあるようでした。

私が入試を受けた年くらいから出願の際の倍率が1倍を超え始めたように記憶していますが、それ以前の年には定員割れしているにも関わらず、何名かが英語のスコアで不合格となっていました。

目安としてはTOEIC600点くらいあれば良いという話も聞きました。

TOEFL PBTは出題形式が特殊で内容も難しいので、出願を考える人は事前に必ずTOEICを受けておき、そのスコアを提出しましょう。

当日にTOEFLも受けることになりますが、得点の高い方を採用してもらえるので、対策のしやすいTOEICが圧倒的に有利です。

雰囲気は非常にフランクで、研究室間のつながりも多い

研究科の雰囲気は正直なところ、非常に良いです。

様々な学部から研究室が集まっているので先生方のしがらみも少なく、共同研究も盛んに行われています。

研究室対抗のイベントも頻繁に行われており、ソフトボール大会・芋煮会・納涼祭などを経験しました。

このような場で別の研究室の方々と交流できるので、とてもいい機会だと感じました。

若手の先生方の集まりも活発で、助教たちの飲み会とかもあるようでした。

また、「研究科内のいろんな人の研究を聞いて、交流のきっかけにしよう!」という目的で「生命科学交流ミーティング」というセミナーも開催されています。

私も研究室の先輩に誘われるままにこのセミナー運営をお手伝いし、M2の際には代表もさせてもらいました。

その時から月に1回(発表者は2~3人)と頻度をあげて開催できていて、この会を盛り上げることに尽力できて良かったと思います。

この運営には博士課程の学生や、博士課程に進もうとしている学部・修士学生が多いので、外部から来た方もぜひ参加して、いろんな友達を作ってみてください。

このページに現在のメンバーへのコンタクト先もあるので、「石田のブログをみました!」と言えば、2019年くらいまでに在籍していたメンバーから何らかの反応があるかもしれません。

https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/meeting/

研究環境はとてもよく整備されている

さて、次は研究環境に移りましょう。

共用の分析機器などが豊富にあるので、研究環境としては非常に恵まれていると思います。

実際にケンブリッジに移ってから気づいたのですが、各ラボにある装置なんかも東北大の方が遥かに充実していました。これは文化的な違いかもしれませんが。

共通機器の問題点としては、機器自体はどこかのラボに置いてあり、それを借りに行くという形になるので、専門の技官さんがいるわけではないという点があげられます。

それなりに事前の知識や打ち合わせが必要になりますし、時間を割いて機器を動かしてもらう必要があるので、心理的には少し頼みづらいところはあるかもしれません。

そういう意味ではケンブリッジのように、お金を払って外注/共同研究という形の方がスパッと使いこなせる人もいるのは事実です。

それぞれのラボの研究費もある程度規模が大きいので、提示された研究プロジェクトを進めてく上ではあまり困ることはないと思います。

その辺りは指導教員の能力やタイミングによるので、進学前に科研費のサイトで下調べをして、教員にも直接聞くのが良いでしょう。

ハラスメントへの対応は不満

指導教員と上手くいかなくなることもたまにはあるでしょう。

そんな時に外部の方を交えて、上手く関係を取り持つ必要があります。

また、セクハラ・パワハラがおきた際には専門の委員会で事実確認をし、然るべき処置を下す必要があります。

しかし、このような機能が有名無実化していることが、私の体験の中で唯一の残念な点でした。

私は1年目の後半から指導教員とかなり折り合いが悪くなり、指導を受けられないばかりか、獲得した研究費を指導教員が他の用途で使い切るという事案が発生しました。

このあたりは話すと長くなるのでやめますが、こういったトラブルが起きているというように研究科長や他の教員に相談しても、組織としての対応は全くなく、どの方もあまり介入したがらないというのが正直な反応でした。

こういう場合にもっと踏み込んだ対応をしてくれる部門があれば良かったのに…と今でも強く思います。

もちろんそうならないように、相性の合う教員を選ぶことや、良い関係を築けるように努力するというのが一番です。

就活に強く、有名企業へ就職する人がほとんど

卒業後の進路としては9割くらいの方が修士修了後に就職をします。

業種としては食品関係・製薬関係が多かったと思います。

少なくとも私の知り合いは皆超有名企業への内定を勝ち取っていたので、将来は楽しく仕事に励むんだろうなと思います。

今はオンライン面接なども普及してきましたが、当時は就活に膨大な時間を割く必要があり、M1の3月からM2の7月くらいまでは皆ほとんど研究室に来ずに東京で面接を受けたりしていました。

博士課程へ進学する学生は1割前後でした。

その後の進路はよく知りませんが、アカデミアに行く人が多いのではないでしょうか。

事務の方々が親身になって助けてくれる

もう一つのアピールポイントは事務の方々の優秀さです。

分かりやすい書類で有益な情報を発信してくれたり、留学生のために奨学金情報をこまめに教えてくれたりする本当に良いスタッフが大勢います。

私も何度無理難題をお願いして、臨機応変に対応してもらったことか。

入試のことでも進学後のことでも何か困ったら、ぜひ事務のスタッフに協力を仰いでみてください。

他大学から進学して、修士卒で就職をするのは十分な研究能力が身につくのか?

ツイッターのDMで時々このような質問をいただきます。

進路としては

学部: 他大学

修士: 東北大学生命科学研究科

その後: 就職

というパターンです。

個人的にはあまり研究に時間が割けないのでオススメはしません。

引っ越し代なども結構かかりますし、上述のように就活に5ヶ月くらいの時間を費やすとなると、実際に研究できるのは一年半くらいしかありません。

これで十分な研究成果を出すのは容易ではありません。

東北大卒という肩書きが欲しいのであれば良いのかもしれませんが、かける労力と得られる技能が比例してこないので、あまり良い選択ではないと思います。

博士まで行くという方や、仙台での就職を考えている方にとってはかなりポジティブな選択肢になるように感じています。

まとめ

結局のところ東北大学生命科学研究科で学んだ1年半はどうだったのかというと、「最高に楽しかった」です。

もちろんハイレベルな環境で研究できたこともそうですし、一生の付き合いになるだろうという仲間や、楽しい仙台生活を満喫できたからです。

仙台は本当に良い街ですよ。美味しいラーメン屋さんも多いですし。

また機会があれば住みたいと思っています。

という訳で、「大学院どこ行こうかな〜」と迷っている方は、ぜひ東北大学生命科学研究科を検討してみてください。