投資を始める人の中には、短い期間で資産を増やしたいと思い投資を始める方や、そこまで手元の資金がないからこそ短い期間で増やしたいと思い投資を始めた人もいるのではないでしょうか?
そこで手を出しがちなのがレバレッジが効いた金融商品で、株式だと信用取引、投資信託だとレバレッジ型ETF、FXなどにも興味を示している人も多いと思います。
本記事では、レバレッジ型ETFについて基礎も踏まえて解説していきますので投資を始める前にぜひご参考いただければと思います!
Contents
レバレッジ型ETFとは?
レバレッジ型ETFとは、レバレッジがかけられたETFのことです。
例えば、日経平均やTOPIX、S&P500といった指数に対して2倍のレバレッジがかけられているETFを保有している場合、投資対象指数(日経平均やTOPIXなど)が前日比+5%の動きをすると、レバレッジ型ETFでは+10%の動きをするということになります。
あまり聞きなれない言葉が連続していると思われますので「レバレッジ」と「ETF」それぞれの用語について解説致します。
レバレッジとは?
レバレッジとは、直訳すると「てこの原理」という意味になります。
金融市場でレバレッジというと、担保となる手元の資金(取引証拠金)にレバレッジ(≒倍率)をかけることで、何倍もの金額の取引ができることを意味しています。
例えば、手元の資金が10万円でレバレッジ10の取引では、手元資金×10倍の100万円の取引ができることになります。
レバレッジの倍率を上げるほど、効率的にリターンが狙えるメリットがある一方で、損失が出た時はその損失に対してもレバレッジが働くためハイリスクな取引という点がデメリットになります。
ETFとは?
ETFとは、金融商品の種類の1つで、証券取引所で売買される投資信託のことです。
投資信託のおさらいとして、
投資信託は、ファンドにお金を預けてファンドマネージャーに運用していただく金融商品をいいます。
ETFと投資信託でどういう点に違いがあるかといいますと「証券取引所」に上場されているかどうかで、ETFが上場されている投資信託になります。
特徴としては、主に3つあります。
①上場されている分、売買がラクに行える
通常の投資信託では金融機関などの窓口で行うのが一般的ですが、ETFであればスマホからでも取引が可能です。
②手数料が通常の投資信託に比べて安い
金融機関などで勧められる投資信託では、窓口の手数料なども含まれるためコストが高い傾向にありますが、ETFだと個人で売買を行うことができる分比較的低コストになっています。
③通常の投資信託と比べてリアルタイムで価格が動くので、一般的な株価と同じ感覚に近い
ETFは上場しているため、リアルタイムでの取引が可能となります。
その一方で、金融機関が扱う通常の投資信託では、組み入れている株式や債券などの時価評価を基に算出しているため1日に1つとして基準価格が公表されます。
この基準価格の確定は終値で算出されますので、当日の基準価格が分からない状態で取引を行うことになります。
Column
ファンドとは?
複数の投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資を行いそのリターンを分配する仕組みのことです。
参考元:一般社団法人 投資信託協会
レバレッジ型ETFの具体的な銘柄
レバレッジ型ETFといってもとても数多くの商品が存在しています。
ここでは会社四季報より証券コードが若い通常のETFとレバレッジ型ETFの2つを紹介します。
通常のETF
証券コード:1305
商品名:ダイワ上場投信 トピックス
運用会社:大和
売買単位:10株
特徴:株価指数であるTOPIXに連動するように運用
信託報酬:0.121%
分配金:25.7円
※会社四季報2018年2集データより
レバレッジ型ETF
証券コード:1367
商品名:ダイワ上場投信 トピックスレバレッジ(2倍)
運用会社:大和
売買単位:1株
特徴:株価指数であるTOPIXに連動するように運用
信託報酬:0.825%
分配金:0円
どちらも大和が運用する商品でTOPIXと連動を目指すパッシブファンドになっています。
大きな違いとしては、売買単位と信託報酬、分配金に違いがあります。
Column
ブル型とベア型?
株価は上がるだけが利益を出す方法ではなく、株価が下がれば利益が出るという手法もあります。
この手法を株式だと「空売り」、「投資信託」だとインバース(ベア)型といいます。
ブル型=株価の「上げ」のことを、ベア型=株価の「下げ」のことを意味しています。
ちなみに、ブルとは「オスの牛」のことで、牛はツノを下から上に上げることから業界用語してブルが使用されています。
一方、ベアは熊を意味していて、爪を上から下に振りかざすことからベア型は「下げ」を表しています。
強気相場や弱気相場を表す意味でも使われることがあり、今後耳にする機会も多くなると思いますのでこれを機会に覚えておきましょう!
アクティブファンドとパッシブ(インデックス)ファンド
投資を行う上でアクティブファンドやパッシブ(インデックス)ファンドを耳にしたことがあると思いますが、具体的な違いが何か疑問に思う人も多いと思います。
そこで、アクティブとパッシブ(インデックス)の違いと初心者にはどちらがおすすめできるかをご紹介します。
アクティブファンドとパッシブファンド(インデックス)の違い
アクティブファンドとは、ベンチマーク(目標)が指数(平均)を上回る成果を目指す運用を行い、指数との連動ではなく運用会社のファンドマネージャー(運用責任者)が企業調査や分析を行い優良だと思う銘柄を選定している点が大きな特徴になります。
アクティブファンドでは、投資成績がファンドマネージャーに左右されるため、指数よりも下回る結果になることも懸念点としてあります。
また、アクティブファンドの方がパッシブファンドよりも銘柄選定などに手間がかかるため手数料などのコストが高くなる傾向にあります。
パッシブ(インデックス)ファンドとは、ベンチマーク(目標)が指数(平均)との連動を目指す運用を行うファンドのことです。
リターンに関しては、アクティブファンドと違い、日経平均株価やTOPIXなどの同じ指数に連動した商品ならほぼ変わらないという点から比較的安定した運用になっています。
コストに関して、銘柄選定の手間がかからない分比較的低コストとなっているのもパッシブファンドの特徴です。
初心者にはどちらがおすすめ?
結論、長期投資を行うのであればパッシブ(インデックス)ファンドに投資することをおすすめします。
理由としては、過去データから長い期間で投資成績を見た場合、アクティブファンドがパッシブ(インデックス)ファンドに勝ててないことが分かっているからです。(全てではないですが)
過去5年間の推移を載せていますので併せてご確認ください。

参考元:ニッセイアセットマネジメント株式会社 ファンド比較より
またアクティブファンドでは、ファンドマネージャーに投資成績が左右されることから、ファンドマネージャーが変更になった際や長期休養が必要になった際、これまで好調だった成績が悪くなるということも考えられるため、それらの外部要因が強く懸念されることからもパッシブ(インデックス)ファンドをおすすめします。
Column
指数とは?
株価指数とは、インデックスとも呼ばれ数ある企業の平均値のことです。
例えば、日経平均株価やTOPIXなどが指数に該当します。
日経平均株価は、日本経済新聞社が各業種を代表する企業を東証一部から225社選定してまとめた株価の平均のことです。
225社に選定しているため、どうしても株価の高い企業の影響を受けやすいという特徴もあります。
一方、TOPIXは東証一部に上場している企業を全てまとめたもので、時価総額の合計を1968年の時価総額で割って算出しています。
米国だと、NYダウやS&P500などが指数に該当します。
初心者にレバレッジ型ETFがおすすめできない理由
初心者がレバレッジ型ETFをやるべきかどうかに関して、結論おすすめはできません。
その理由をレバレッジ型ETFのメリット、デメリットから解説します。
メリット
①レバレッジがかかっているため資金効率が良くなる
少ない資金の投資で投資対象指数の倍の価格で変動しますのでリターンが大きいという点があります。
②売りで入りやすい!
株式で空売りを行うには、信用口座を開設しないといけない手間があるのですが、インバース(ベア)型のETFを購入すれば空売りと同じ効果を得ることができますので、株式市場での売りと買いの使い分けがしやすくなります。
③銘柄選定の手間がなくなる!
ETFは投資信託の1つですので個別で銘柄選定を行うことがなくなります。
デメリット
①長期投資に向かない!
この理由が一番レバレッジ型ETFをおすすめできない理由になりますが、1年間レバレッジ型ETF(2倍)を保有すれば対象指数の2倍になっているかというと、そうではありません。
なぜなら、日々の変動率に連動するため、長期間保有する場合は元の指数から乖離が発生するからです。
いまいち分かりづらいと思いますので、下記表をご参考ください。
例 | 日経平均株価 | 日経平均レバレッジ・インデックス | 元手資金100万円 |
1日目 | 5% | 10% | 110万円 |
2日目 | -5% | -10% | 99万円 |
3日目 | 5% | 10% | 108.9万円 |
4日目 | -5% | -10% | 98万円 |
5日目 | 5% | 10% | 107.8万円 |
6日目 | -5% | -10% | 97万円 |
投資成績 | 0% | 0% | -3万円 |
※分かりやすく日々の変動幅を極端にしています。
つまり、上げたり下げたりを繰り返すヨコヨコの動きを繰り返すボックス相場などでは投資成績がプラスマイナス0でもどんどん資産が減少していくということになります。
②レバレッジがかかっている分ハイリスクになる
メリット①でも説明したようにレバレッジをかけている分得るリターンも大きいですが、想定と逆に相場が動いた際は、当然失うリスクも高くなります。
③信託報酬が高い
どれくらい信託報酬に差があるのか先ほど紹介したダイワ上場投信 トピックスETFを参考に見ると、約0.7%ほど差が出ていることが分かります。
通常の投資信託であれば1%以上信託報酬がかかる商品も多くありますので、比較的手数料が安いETFでもレバレッジ型は高いことが分かります。
④分配金に期待ができない
投資信託の分配金とは、株式でいう配当金に近いものになるのですが、レバレッジ型ETFには基本的に分配金がほとんど出ません。
また、仮に分配金が出たとしても分配金に対してレバレッジが作用するわけではありませんので注意が必要です。
レバレッジ型ETFの代わりにやるべきは積立NISA
レバレッジ型ETFと積立NISAを長期保有目的で比較するのであれば、積立NISAをおすすめします!
理由としては下記が挙げられます。
- 投資で得た利益が非課税になる
- 多額な資金がなくても始められる
- 長期投資向けにできた制度なので暴落リスクの影響を受けにくい
- 金融庁が認めている商品のみを扱っているため失敗しにくい
詳しくはこちらの記事で解説していますので併せてご参考ください。

逆にどのような人がレバレッジ型ETFに向いているのかと言いますと、分散投資のメリットを確保したまま短期的なトレンド(相場の方向性)を読める人に向いています。
相場を読み解くには特にテクニカル分析に長けている必要がありますので、上級者に向けた金融商品と言えるでしょう。
まとめ
ETFにはアクティブファンドとパッシブ(インデックス)ファンドがあり、初心者におすすめできるのはパッシブ(インデックス)ファンド!
レバレッジ型ETFの特徴として
メリット
- レバレッジがかかっているため資金効率が良くなる
- 売りで入りやすい!
- 銘柄選定の手間がなくなる!
デメリット
- 長期投資に向かない!
- レバレッジがかかっている分ハイリスクになる
- 信託報酬が高い
- 分配金に期待ができない
初心者が短期売買でレバレッジ型ETFで儲けるのは可能性としては低くむしろ損失を被る可能性が高いです。
なぜなら、テクニカル分析に長けていない分、浅はかな投資選択をしてしまう点と、
ロスカットを怠れば長期で保有(塩漬け)しがちになりデメリット①で解説した資産が徐々に減っていく影響を受けてしまうためです。
ですので、初心者が長期的な目的で投資を行うのであれば積立NISAを活用しましょう!