研究・植物の話

琉球大学農学部 亜熱帯生物資源科学科の学生生活について|卒業生の口コミ

私は2014年4月に琉球大学農学部に入学し、2018年3月に亜熱帯生物資源科学科を卒業しました。

この記事では学生生活を振り返り、どのような授業を受けたのか、卒業後の進路はどうなのかについて解説します。

亜熱帯生物資源科学科について

琉球大学農学部は「亜熱帯」から始まる4つの学科があります。

  • 亜熱帯地域農学科
  • 亜熱帯農林環境科学科
  • 亜熱帯農業工学科
  • 亜熱帯生物資源科学科

それぞれの学科で学べることをざっくりと表すと次のようになります。

  • 亜熱帯地域農学科: 農業・畜産
  • 亜熱帯農林環境科学科: 生態系
  • 亜熱帯農業工学科: 土木・防災
  • 亜熱帯生物資源科学科: バイオテクノロジー

私は最初「亜熱帯地域農学科」に入学したのですが、あまり調べずに出願してしまったので、「なんかイメージしてた内容と違う…」と感じて2年生の後期に「亜熱帯生物資源科学科」へ転学科しました。

大学では1, 2年目は共通科目(一般教養)の履修が中心となるので、2年生のうちまでなら学科を変えても留年することなく卒業できます。

転学科に当たっては志望理由書と、面接を受けました。

必ずしも上手く行くわけではないですが、私の友人は理学部から政治経済学部へ移っていたので、それなりに受け入れられはするようです。

さて、生物資源科学科で学べることに話を戻します。

この学科にでは3年生の前期まで皆同じように授業を履修し、その後、どの研究室に所属するかによって、コースが分かれます。

コースは次の4つです。

  • 生物機能開発学コース
  • 食品機能科学コース
  • 発酵生命科学コース
  • 健康栄養科学コース

健康栄養科学コースは調理や栄養指導を専門とするコースで、私が卒業する年にできたように記憶しています。

教育学部の1区分だったものを農学部に移したという経緯だったので、私がいた頃は教育学部の学生がこのコースで学んでいました。

今はおそらく生物資源科学科の学生がこのコースを志望することができるのだと思います。

他の3つについては基本的には研究室のテーマがどんな内容かということで分かれています。

生物機能開発学コースは、生物のもつ酵素や化合物を使った研究

食品機能科学コースは、食品の美味しさや機能性を高める研究

発酵生命科学コースは、微生物を使って有用な物質を作り出す研究

をしています。

私は生物機能開発学コースへ進み藻類が作る糖の研究をしていました。

その研究の延長で、修士課程・博士課程へと進み、現在でも植物の細胞壁の研究をしています。

生物資源科学科で印象に残っている講義

生物資源科学科には糖の研究をされている先生が当時4人いたので、そういった先生と話をしているうちに、糖の研究に興味をもつようになりました。

中でも楽しかったのが

  • 高分子科学 (高野先生)
  • 植物生理学 (小西先生)
  • タンパク質工学 (平良先生)
  • 酵素科学 (金子先生)

です。

専門的な内容が増えて難しくはなりますが、先生方は噛み砕いて教えてくれるので、高校レベルの生物・化学の知識があれば、段階的に学んでいけると思います。

これらの授業で学んだ知見は大学院での研究などにそのまま活かすことができました。

進学を考える場合には日々の授業をきちんと身につけることが大事です。

生物資源科学科で一番大変な時期は?

生物資源科学科で学ぶ中で最も大変な時期は3年生でしょう。

この時期に学生実験が始まるからです。

学生実験は月から金の午後にずっと入っており、各研究室の先生が代表的な実験を教えてくれます。

単に実験をするだけでなく、結果をどう解釈するかという部分がとても大事なので、実験後も調べ物にかなりの時間を割くことになります。

これまでの座学から研究の入り口に立てる喜びを感じながら、膨大なレポートにヒーヒー言ってこの時期を乗り越えました。

多くの学生が3年生の春にバイトを辞めるまたはセーブする傾向にあるので、もし貯金を作っておきたい場合には1,2年生のうちにしっかり働いておくのが良いと思います。

次に大変な時期は4年生です。

4年生になるとほとんど講義はなく、研究室での研究活動がメインになります。

コアタイムと言って、「この時間は研究をしてください」という時間帯が研究室によっては設けられている場合がありますが、基本的には自分の裁量でどのくらい実験をするかを決めることができます。

4年生では研究室がファミリーのような感じになるので、楽しいも辛いもその時のメンバーによって決まるのではないでしょうか。

研究室の行事もたくさんあって、私は4年目が一番思い出に残っています。

大変な時期は色々あるのですが、学外の活動も可能です。

私は3年生の後期から4年生の5月上旬まで交換留学をさせてもらいました。

交換留学の場合は「その大学に在籍している」ことになっているので、単位がきちんと取れていれば留年せずに卒業することも可能です。

事前に良く計画して、納得のいく方法を見つけることが大切です。

主な就職先は?

私の学年では公務員試験を受けて、市役所や県庁で働く方が多かったです。

4年目に公務員試験対策をする必要があるのでとても忙しくはなりますが、雇用の厳しい沖縄で安定した職を求めるのであればそれがいいのかもしれません。

琉大生は全体的に公務員が多めな印象があります。

次に多かったのは一般企業への就職です。

事務職や営業職などへ進んでいました。

次が大学院進学で、進学率は30%くらいでした。

学部時代の研究室に残る人が半分、他大学へ進学する人が半分といった感じです。

多くの人は就活や院試をさらっと済ませていたので、修士課程就職よりもそこまで時間をかけないで済むように思います。

修士課程の時の就活の話はこちらの記事を参考にしてみてください。

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生物資源科学科で困ったポイント

アットホームな環境でバイオテクノロジーのことを学べるいい学科なのですが、今後進学をされる方へ正直に「こういうところは大変…」という点も書き残しておきます。

先生同士の関係が良くないこともある

先生同士で色々なしがらみがあるようで、そのとばっちりを学生同士が受けることもありました。

例えば、Aという研究室の学生とBという研究室の学生は会話してはいけないというような暗黙のルールがあったりしました。

研究室間の共同研究なども私がいた当時はほとんどなかったので、研究室が別れた後は同期と関わることも少なくなりました。

研究設備が良くないこともある

地方大学はどこも予算状況が厳しいので仕方ないのですが、生物資源科学科でもお金に苦労しているラボがいくつもありました。

当時はそれが当たり前なので何も気づきませんが、今思えばラボは狭かったし、試薬や消耗品も相当にケチって使っていたし、分析機器は全然なかったです。

これはどのくらいの研究環境を期待するかという話なので、普通に卒論を書いて卒業していく人にはあまり問題にならないと思いますが、もし修士や博士までいくのであれば質の高い研究をするために、外部の大学院を考えるというのも必要なのかなと思います。

先生や大学院生の研究に対する熱量が高くないこともある

研究よりも教育・学内業務に力を入れている先生が多いのも事実です。

そのため、「バンバン論文を出したい」「研究の話を先生や先輩と毎日議論したい」というようなモチベーションを持つ方には向かないかもしれません。

その分、講義や教育に熱心な方が多いです。

大学院へ進むということを早い段階で伝えていれば、それに応じたテーマ設定や指導をしてくださる方もいると思うので、自分がどうしたいかを良く話し合うことが大切かと思います。

まとめ

亜熱帯生物資源科学科は農学部の中では最も真面目な雰囲気があり、バイオテクノロジーの基礎を身につけるにはとても良い環境です。

先生たちも親身になってくれる方が多いので、アットホームな環境で楽しい4年間が過ごせると思います。

公務員試験・一般企業・大学院進学のどの選択肢も取れるので、学んでいく中でどうしたいかを考えていけることも魅力の一つですね。

ぜひみなさんが亜熱帯生物資源科学科へ進学してくれることを願っています。