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書籍紹介|「なぜオックスフォード大学が世界一の大学なのか」

オックスフォード大学

英国が誇る超有名大学で、その歴史は1096年まで遡ることができるというとんでもない教育機関。

世界大学ランキングでも毎年トップ3にはランクインするほどの教育・研究力で、いまなお世界中から優秀な学生・研究者を集めています。

では、なぜオックスフォードは長期間に渡って優れた教育機関であり続けているのでしょうか?

その疑問に答えてくれるのがこちら「なぜオックスフォード大学が世界一の大学なのか」です。

オックスフォードに1980年代に在籍したコリン・ジョイスさんという方が書かれたエッセイで、自身の体験をベースにオックスフォードの魅力を語っています。

この記事では本書の内容についてご紹介していきます。

「なぜオックスフォード大学が世界一の大学なのか」の要約

オックスフォード大学は世界的に有名な大学ですが、イギリス人であってもその大学の仕組みについては深く知りません。

イングランドのロムフォードに生まれた筆者は1987年にオックスフォード大学に出願し、大学の独自性を少しずつ理解するにつれて、オックスフォード大学がまるで運命の相手であるかのように感じました。

例えば、入試の時に問われる能力は専門性(筆者の場合は歴史の能力)だけであり、それ以外の科目の出来は問われません

入学後も学びの基本は自ら調べて論述する事が求められ、大学院生や先生との1:1または1:2のチュートリアルでその内容を掘り下げます。

オックスフォードでは大人数の講義は理解を手助けする教材の1つであり、当時は参加しないことも当たり前でした。

学年の最終的な成績は5,6月に行われる試験の結果にかかっています。筆者は4日間で7つの試験を3時間ずつ受け、それらを合わせると約20の小論文を書きました。

こういったオックスフォード大学の教授法が完璧とは言えませんが、オックスフォードをオックスフォード足らしめる特徴の1つとされています。

PPE(Politics, Philosophy, Economicsを複合的に学ぶ専攻)出身者が長きにわたってイギリスの政財界の中心にいるため、オックスフォードで学び、そのコミュニティに加わることに大きな価値があると考える人も少なくありません。

現在では公平性の観点から入試の方法も変わっていますし、以前よりも公立校出身の学生を多く合格させるようになりました。

また、1980年代には大学進学者は全体の5%だったため、学費や生活費が全て政府から援助されていましたが、ブレア政権が高等教育を受けた者の数を増やす政策をとったことにより、大学進学率は50%を超え、学生は学費・生活費を自分で負担するようになりました

このように、数々の改革を経て現在のオックスフォード大学の仕組みが形作られています。

「なぜオックスフォード大学が世界一の大学なのか」の構成

1章: オックスフォードはどこが優れているか

・全ては“カレッジ”から始まる

・ユニークで世界一公平な入学試験

・大学院くらい厳しい専攻過程

・世界に冠たる二大科目

2章: オックスフォード生はこうして知性を磨いていく

・一流の学者による個人レッスン

・“勉強中毒”になる理想的な環境

・世界で一番難度の高い卒業試験

・学生を格付けする成績評価システム

・勉学の“助け”にもなる課外活動

3章: オックスブリッジは特権階級?

・“ザ”・ボート・レースの謎

・オックスフォードかケンブリッジか

・ほんとうに門戸は開かれているのか

・オックスフォードはエリートへの道?

4章: さらに深く知るオックスフォード

・オックスフォードのトリビア

・カレッジの殿堂、オール・ソウルズ

・オックスフォード語ミニ辞典

・変わりゆくオックスフォード

・そして、オックスフォード生は今…

印象に残ったポイント

早期の専門化教育

イギリスの教育システムの特徴の1つが、若いうちから得意な分野に特化して学ぶことです。

イギリスでは大学受験に「Aレベル」という共通試験のスコアを用います。

これは日本のセンター試験のように5教科7科目を受験するわけではなく、自分が大学で専攻しようとする分野と関連のある3科目を受験します。

例えば、化学・数学・物理という選択をしたり、古代史・歴史・経済という組み合わせがよくあるようです。

つまり、イギリスでは16歳くらいからある程度科目を絞り、その分野に精通することを目指しています。

もちろん大学入学後も教養課程はなく、学部1年生から専門分野を段階的に学びます。

思考力や論理性を高めるカリキュラム

日本やアメリカでは試験の公平性・客観性を第一に考えるため、知識を問う問題や多肢選択式の問題が試験に出題される傾向があります。

それに対し、オックスフォードの試験では記述式がほとんどです。

記述させる問題は入学試験から始まります。

筆者は入学試験の口頭試問で「自分が学ぼうとしている時代の古代ローマと古代ギリシャの違いは何か」

筆者の友人は「もしあなたが透明人間なら強盗を働くか」

と問われました。

これは正解不正解を試すのみならず、その人の物の見方そのものを問う深い問題です。

もちろん採点は難しいでしょうが、このような習慣が根付いていることで「優秀な学生」か「飛び抜けて優秀な学生」かを判断することができるのだと思います。

学部生のチュートリアルも思考力を磨くのに適したやり方が取られています。

学生はその科目の専門家であるチューターと、1対1で1時間過ごす。

学生が自分の小論文を読み上げ、続いて討論に入る。

最後にチューターが次の課題を選び、長大な課題図書リストを渡し、小論文の論題を設定して、1週間後の再開を約する。

(中略)

チュートリアルの要は、一線級の学者から個人レッスンを受けられるという点にある。一介の学部生にとってはかなりの栄誉だし、かなりの難題だ。

1週間の勉強の証である小論文の朗読に、チューターが耳を傾ける。

さほどの出来ではないなら、それがあらわになる。

課題図書を十分に読んでいないと、チューターにはそうとわかる。

説得力にかけるまとめ方をしたり、立証されていない結論に飛びついたり、ありきたりの言い回しをしたり、自分の意見がちゃんと表れていなかったりすると、チューターが容赦無く批判する。

僕らはよくチュートリアルについて、「どこにも逃げ場がない」と言っていた。

 

専門家である教員や大学院生と一対一で思考力を試されるというのはとても贅沢ですね。

だからこそ身につくものが沢山あり、オックスフォードから優れた人材が輩出されるのでしょう。

オックスフォードとケンブリッジ

オックスフォードは「文系」に強く、ケンブリッジは「理系」に強い。

そんなイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

実際、イギリス国内の議員数ではオックスフォードの方が多く、ノーベル賞受賞者はケンブリッジが圧倒的です。

それにちなんだ小話に、パブの名前があります。

オックスフォードにもケンブリッジにも「イーグル」と名のつくパブがあります。

オックスフォードでは「Eagle and Child」と呼ばれ、かつて大学の偉人たちが集いました。

ケンブリッジには現在では「The Eagle」と呼ばれるパブがあり、DNAが二重らせん構造を取ることを発見したワトソンとクリックが度々訪れていたことでも知られています。

私もThe Eagleは先輩に連れて行っていただいたことがあり、「ここで1953年にワトソン・クリックが同僚に自説を披露したのか」としみじみと感じ入りました。

内装はいたって普通のパブって感じでした。値段も普通です。特別感が無いところが今でも愛される理由なのかもしれません。

また、ケンブリッジ大学の良いところなどについても下記で紹介しています。

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まとめ

オックスフォード大学はそこまで大きな大学ではないにも関わらず、数百年に渡ってアカデミアを牽引してきました。

本書「なぜオックスフォード大学が世界一の大学なのか」ではその理由が余すところなく語られています。

オックスフォード出身の著者だからこそ知っている内情が生き生きと描かれ、学問に真摯に向き合う若者の姿に大きな影響を受けることは間違い無いでしょう。

オックスフォード大学に関心のある方はぜひ読んでみてください。