無料で教科書を読む方法はないだろうか?
これらの疑問に答えます。
従来は情報そのものに価値がありましたが、インターネットの発達によって、情報を持っていることそれ自体には大きな意味はなくなりました。
そのため、特権階級ではない人にも教育の機会が開かれ、学ぼうとする意志さえあれば誰でも学べる環境が整えられています。
そこで本記事では近年大きな注目を集めているオンライン教育(MOOC)の紹介や、独学で専門科目を学ぶための方法を解説します。
Contents
MOOCとは
MOOCとは
Massive Open Online Coursesの略で、大学などの高等教育機関が連携しインターネットを通じて講義をオンライン公開する取り組み、あるいはそのシステムを指す言葉です。(Weblio辞書)
MOOCの最大の特徴は”無料で””世界のトップレベルの大学の”講義を受けられることです。
教育に無償でアクセスできるというのは一昔前では考えられなかったことなので、現在の状況には大変驚いています。
こうなると大学教育の価値は知識の伝達にはなくなったとも言えるので、大学自身がその価値を再定義する必要がありそうです。
学生にとっては知識が不要になったという訳ではなく、学びやすくなったという意味なので誤解をしないようにしておきましょう。引き出しは多い方がアイディアに結びつきやすいです。
その上で学んだ知識を使って何をするかや、大学で知識以外のこと(友達を作るとか教授から刺激を受けるとか)をどれだけ吸収するかが重要になってくるでしょう。
日本語で受けられる講義
もともとMOOCは英語の講義がほとんどでしたが、ここ1年間くらいの間で日本語のコースも整備されてきました。
JMOOC
日本語での講義はJMOOCというサイトに集められています。
中でもプログラミングに関する分野や、その原理を学ぶための数学(線形代数や統計学)が人気を集めています。
東北大学もMOOCの講義を提供しており、筆者が在籍していたラボの下の階にいた田村宏治先生の動物発生学の講義や、東北大学の強みである防災分野の講義が受けられます。
英語で受けられる講義
英語の講義は非常に充実しており、大学で一般的に設置されているコースであればほぼ100%見つかります。
MOOC.Org
一番有名なMOOCはMOOC.orgでしょう。
次の図が代表的な科目区分になり、3000以上のコースが準備されています。

筆者の関連分野である生化学の領域でも10以上のコースがありました。

タンパク質の立体構造やバイオ燃料のイメージが並んでいてぞくぞくしますね(変態)。
なんでも読んでみたい、学んでみたいという性格なので筆者はこういうコースをかたっぱしから見ていきます。
Coursera
さて、話がそれましたが、MOOC.orgと並んで有名なものが「Coursera」です。
Courseraは様々な教育機関との取り決めにより、修了証明書や学位の発行ができるようになっています。
そのため、学んだことが目に見える形で残りやすいので、大人のスキルアップのために重宝されています。
MOOC.orgと比較してもCourseraはよりデータサイエンスやビジネスの分野が手厚い印象です。

「それでも本当に海外の大学に行って勉強したいんだ!」という方はこの機会に奨学金をゲットして、進学の基盤づくりをしてみてください。

MOOCの受講の流れ
コースには現在開講中のものと、録画されたものがあります。
現在開講中のものは動画がアップされる頻度に合わせて受講を進め、すでに録画されているものについては自分のペースで進めることができます。
どのコースを受講するかにもよりますが、一般的には次のような流れを辿ります。
- 授業を受ける
- 課題を提出する
- 次の授業にアクセスできるようになる
この一連の作業を繰り返すことで受講を進めていきます。
最後にテストなどがある場合もあるので、きちんとノートをとって復習をしておくことも忘れないようにしましょう。
改めて言いますが、原則全て無料で受けられます。
ほんと活用するしかないっす。
Free textbook
教科書も無料公開されるようになってきています。
Springer
まずはコロナの影響で期間限定公開されているSpringerの教科書を見てみましょう。
Springerはアメリカの大手出版社です。研究者は論文なんかもSpringerを通して出版することも多いのでおなじみの方も多いでしょう。

500冊以上の教科書のpdfを無料公開しており、ほとんどがダウンロード可能です。
リストはこちらにあります。が、リストに載っていないものも無料で読めました。
5月末までの公開なので、気になるものがあれば早めにダウンロードしておきましょう(そして読みましょう)。
植物科学の分野でも何冊か面白そうな教科書が出ていました。
英語の勉強は億劫ですが、こうやって専門の教科書を読むのは楽しくて何時間でもできますね。
Open Textbook Library
Open Textbook Libraryも無料で質の高い教科書を閲覧できるサイトです。
こちらは約700冊の出版物だけでなく、個人が作成したマニュアルなんかも置いてあります。

書籍にするほどじゃないけど、ピンポイントで欲しい情報があったりもするので重宝します。
こちらも使い方は極めて簡単で、カテゴリー検索またはキーワード検索をして読みたい本を見つければOKです。
「この本を探したい」と思って探しても入ってないことが多いですが、専門分野の書籍は置いてあるので必要なページを読むような使い方をしています。
オススメの読み方
海外の教科書はかなり体系だったものが多いので、その分ページ数もかさんでいます。
なので最初から最後まで読み通そうとすると大抵は心が折れます。
オススメの読み方は目次をざっと見て、読みたい章だけ読んでいくという方法です。
もちろん全部理解できていればいいのですが、なんせ量が膨大なので、「専門書は辞書的に参照する」というスタンスでもいいのではないかと思います。もちろん基礎の理解ができている前提です。
その点講義は数週間かけて全部を理解できるように設計されているので、ちゃんと続けられるのであれば大きな意味があります。
教科書と講義にはそれぞれ強み・弱みがあるので自身の性格との相性も見ながら無理なく続けていきましょう。
まとめ
Withコロナ時代には自宅で学ぶことが主流になります。
そのため自習のスキルがあるかないかで、出せるパフォーマンスが大きく変わる時代になるでしょう。
アカデミックな内容を自習するためにはMOOCと無料の教科書の活用が正統です。
最初は使いにくいと感じる面もあるかもしれませんが、自分のペースで無理なくと勉強できるので、使いこなせればあなたのレベルを大きく上げてくれます。
ぜひこの自粛期間を活用し、1冊でも専門書を読むようにしましょう(自戒)。