本記事では大量の単語を短期間で覚えるための手順を解説します。
筆者はこの方法を実践することによりIELTS用の単語帳(IELTS必須英単語4400)に掲載されている単語を、30日間で70%程度暗記することに成功しました。
この期間は1日あたり2時間程度を単語を覚えるために使っていたので、もしもっと長い時間を確保できる場合には、20日間などのように期間を短縮することも可能です。
Contents
単語暗記のための基本戦略
物事を覚えるというプロセスを考える時に、しばしばエビングハウスの忘却曲線が引き合いに出されます。
エビングハウスの忘却曲線とは、「どのくらいの時間が経つと人は覚えたことを忘れてしまうか」を表した心理学実験のデータです。
図のように人は1日経つと覚えた量の33%しか記憶を保持していません。

(出典: https://ryugaku-kuchikomi.com/blog/ebbinghaus-the-forgetting-curve/)
しかし、こまめに復習をすることで再び記憶できることに加え、忘却のスピードが緩やかになっていきます。

(出典: http://www.easyrote.jp/mnemonics.html)
この研究を根拠として、単語を覚えるというプロセスも、こまめな復習によってさらなる定着が可能になると考えられます。
単語暗記のための10つのステップ
ここからは実際に高速で単語を覚えるために行なったプロセスを10コに分けてご紹介します。
1. 知っている単語と知らない単語を分ける
まずは制覇するべき単語帳を決め、そこの収録されている単語の中で既に知っている単語と、まだ覚えていない単語に分けましょう。
単語帳を開いて、知っているものにはチェックを付けていくという作業で十分です。
2. 知らない単語を数える。
2番目にやることは知らない単語がいくつあるのかを把握することです。
4000語近い単語帳でも既に3,4割は覚えていると思うので、真に覚えるべき単語だけに絞ります。
単語帳の頭から数えていき、知らない単語の合計数を求めます。
3. 何日で覚えるかを決める
どのくらいの期間で覚えるかを決めます。
「10日」や「20日」のように具体的な日数にするのが良いでしょう。
4. 1日あたりに何語覚えるかを決める
①1週間に1日程度の予備日を設けた方が良いので、3で求めた値(どのくらいの期間で覚えるか)を7で割ります。出てきた値の整数部分を予備日の日数と考えます。
例) 20日で1500語覚える
20 ÷ 7 = 2.85 (予備日は2日)
②3の値から予備日を引いた日数が、実際に新しい単語を覚える日数です。
例)20 − 2 = 18 (18日を新しい単語を覚えるのに使う)
③知らない単語の数を、新しい単語を覚える日数で割る
例) 1500 ÷ 18 = 83 (毎日83語覚える. 予備日には復習)
このように考えると1日に覚えるべき単語数が決まります。
予備日を設定していることで計画倒れを防ぐことができます。
記憶力に自身のある方は1日200-300単語を扱うことが可能だと思います。
そうでない場合には1日50語から100語だと無理なく継続できるでしょう。
5. 知らない単語を紙に書き出す
次に、覚えるべき単語をルーズリーフに書き出していきます。
左側に英単語を書き、少し離してその右に代表的な意味を1つだけ書きます。
英単語には様々な意味がある場合が多いですが、最初はコアとなる意味を1つ覚えておけば十分です。
ルーズリーフのB罫だと41行あるので、1行ずつ開けて書いていくと一列20単語かける計算になります。
筆者はルーズリーフを縦半分に折り、2カラムにして単語を書いていました。
そのため、ルーズリーフ片面につき40単語を書いていくことができます。
6. ページごとに全て覚える
その日に覚える単語をルーズリーフに全て書き出したら、1ページごとに覚えていきます。
英単語と意味を声に出して交互に読むと覚えやすいです。
個人差はありますが、筆者は立って行うことで早く記憶できていました。
このプロセスがもっとも時間がかかりますが、めげずに順番に覚えていきましょう。
7. その日の夜にもう一度チェックする
ここからがエビングハウスの忘却曲線を逆手に取った暗記法です。
まずは単語を覚えて数時間後の復習をするために、その日の夜にチェックしましょう。
単語と意味の書いてあるルーズリーフを見ながら、英単語から意味が思い出せるかを調べていきます。
半分くらい忘れていることも多いですが、忘却曲線を見てみると下手すると40%弱になっているくらいの時間なので、「忘れるのは自分に限ったことではない」と前向きに考えて覚え直します。
8. 翌日に再度チェックする
さらに一晩経ってからもう一度テストをします。
ここでも覚えていないものを覚え直します。
どうしても覚えにくい単語は活用形(名詞の単語を覚えたいなら、その動詞形はなにか)を調べることで記憶のとっかかりを作りましょう。
9. 予備日に再度チェックする
予備日にはそれまでの単語をまとめてチェックします。
60-80%くらいの単語は意味が思い出せるという状態になっていると思います。
ここで落としてしまった単語は特に集中して記憶に焼き付けておきます。
10. またしばらく時間を開けてチェックする
またダメ押しで復習テストをしてみます。
既に4回のテストを行なっているので、おそらく70%程度の単語は思い出せるはずです。
思い出せなかったものはそれだけを別のルーズリーフに書き出すなどして、詰めの暗記をしておきます。
それ以降も必要に応じて復習テストをするととで、単語帳のカバー率が80%、90%と上がっていきます。
あまり完璧になりすぎる必要もないと思うので80%程度のところまできたらひとまずは合格としましょう。
その他のコツ
接頭語・接尾語などに分解してみる
単語の意味を、単語を構成するパーツの意味の組み合わせで覚えると記憶が定着しやすいです。
例えば「Exclusive」という単語を覚えたい場合は、「ex(外の)」「claudere(閉じる)」「ive (性質の)」というコンポーネントの意味を知っていると、「排他的な」という意味が連想できます。
類義語・対義語と一緒に覚える
覚えにくい単語に「その単語と同じ意味で、もっと簡単に言えるものがある」ケースがあります。
その場合は同じ意味の単語とリンクさせておくことで思い出しやすくなります。
例えば「enthusiasm」は「exiting」と一緒と知っておくと、「熱狂的な」という訳語が出てこなくても、「盛り上がっている様子」というのが浮かびます。
さらに、反対の意味の単語を知っておくと表現の幅が広がります。
類義語は「〇〇 synonym 」・対義語は「〇〇 antonym」のように検索することで一覧をみることができます。
読み方と一緒に覚える
単語の発音の仕方が分からないと思い出すのが難しくなります。
また、せっかく覚えてもリスニングやスピーキングで使えないのではもったいないですよね。
そこで、毎回必ず発音記号はチェックするようにしておきましょう。
まとめ
本記事の内容をおさらいします。
・知らない単語を覚えることだけに時間を使う
・繰り返しの復習で忘却を予防
・記憶のとっかかりとなる情報を持っておく
これらの点を踏まえてボキャブラリーを増やしていきましょう。
本サイトではIELTSやTOEIC全般の勉強法などについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。


