グローバルな働き方が一般的となり、海外企業への就職や、海外への移住を考えている、という声を耳にします。
長期間海外で生活することを考えた際、永住権を取得したいと考える方も多いでしょう。
そこで今回は、海外永住権に必要な資格の1つである、IELTSスコアを軸に、永住権取得の条件や求められるIELTSスコアをまとめてお伝えします。
海外移住を検討されている方におすすめの内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
Q:IELTSのスコアで永住権の申請が可能?
そもそも、永住権の取得にあたってIELTSはどのような役割をしているのでしょうか?
海外永住権の申請にあたっては、その土地で生活が可能な能力の1つである、ある一定の英語力を保持していることを証明する必要があります。
この英語力の証明にあたって、IELTSのスコアが有効となっています。
A:ジェネラル・トレーニング・モジュールのスコア+諸条件を満たせば申請可能
IELTSにはアカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールという2種類のモジュールがあります。
IELTSのスコアで英語圏への移住・永住権を申請する場合には、ジェネラル・トレーニング・モジュールのスコアが必要です。
後ほど詳しくお伝えいたしますが、各国の永住権取得の目安は、IELTSオーバーオールスコア6.5以上が必要です。
オーバーオールスコアとは、4つのセクション(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)のスコアの平均を指します。
このスコアに加え、各国の諸々の条件を満たすことで、永住権の取得申請が可能となります。
Q:永住権取得のためにIELTS対策は必須?
永住権取得の目安であるIELTSオーバーオールスコア6.5を、日本国内で受験可能なほかの英語試験と比較すると以下のようになります。
IELTS バンドスコア | TOEIC | TOFLE iBT | 日本英語能力検定 |
7.0 | 870-970 | 100-108 | 1級 |
6.5 | 820-870 | 90-99 | |
6.0 | 740-820 | 80-89 | 準1級 |
日本英語能力検定で言うと1級~準1級の間、TOEICでも800点overのスコアと同程度ということがわかります。
加えて、IELTSは記述の採点がシビアであり、スピーキングやライティングには英語力のみならず論理性や一貫性といった実践的な力が求められます。
このことから、多くの人にとって、IELTSオーバーオールスコア6.5というのは、ある程度本格的な学習を要するレベルであることがお分かりいただけるかと思います。
当サイトの以下の記事で、IELTS6.5のレベル感や、具体的な勉強法についてより詳細にお伝えしておりますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。

A:IELTS以外の英語試験でもOKだが、IELTSがおすすめ
また、永住権の申請にあたってはIELTS以外にもTOEFL iBTなども可能ですが、筆者は以下の理由からIELTSの受験をおすすめします。
- 多くの国の永住権申請に利用可能
- 試験時間が短く、面接が1:1で話しやすい
- 他試験に比べて、スコアが比較的とりやすい
特に、「海外への移住・就職を考えているが、まだ具体的な国や企業は検討中」という方にとって、英語力をアップさせておくことは下準備にあたると言えます。
そういった方は、IELTSの対策を進めておくことで、多くの国の永住権申請にあたって利用可能な英語力の確保につながります。
また、永住権取得に向けて、IELTS対策を継続的・効率的に行いたいという方は、専門スクールの活用もおすすめです。
専門スクールはIELTSにまつわるノウハウを熟知していますので、一人ひとりの目標に合った学習方法や学習計画の指導を通して、限られた時間で効率的にスコアアップを狙うことが可能です。
また、移住後に公用語として英語を用いる生活になることを考えると、実践的な英会話力を身につけられるスクール通学は、IELTSのスコアアップ以上のメリットがあります。
対面指導やオンライン学習など、スクールによってそれぞれ通学方法に特徴がありますので、自分に合った専門スクールを検討してみるのも良いでしょう。
当サイトでは、以下の記事でIELTS対策におすすめのオンライン学習についても解説しています。
永住権取得に向けて効率的な学習をしたい、という方に特におすすめの内容となっておりますので、ぜひこちらもご覧ください。

Q:各国の永住権申請に求められるIELTSスコアは?
では、ここからは永住権を申請するにあたって実際に必要なIELTSのスコアはどの程度なのでしょうか?
A:国・職業により異なるため、きちんと調べておくことが必要!
永住権の申請にあたって必要なIELTSのスコアは、申請する国と、申請者の職業によって異なります。
そのため、まずは「どの国に」「どういった職種(または学生・配偶者)として永住権を申請するか」をあらかじめ決めておくことで、より具体的な目標設定が可能です。
以下に、各国の永住権申請の条件と必要なIELTSスコアをまとめましたので、検討にあたっての参考になさってください。
カナダへの永住権申請条件とIELTSスコア
カナダへの永住権はさまざまな種類がありますが、今回はカナダ国内への雇用先なしで申請が可能な、スキルドワーカーの永住権申請について、条件をまとめました。
1. 職歴が右記の(A)(B)(C)すべてに該当すること(職種経験をした国は問わず) | (A) 1年間またはそれ以上の間有給で継続してフルタイムで雇用されていた、または同等時間総数パートタイムで継続して雇用されていたこと。
(B) (A)の職種経験がカナダ人材開発省(HRSDC)の職種リストにある、スキルドワーカー職種(スキルレベル0、A、またはB)であること。 (C) (A)の職種経験が過去10年以内のものであること。 |
2. 次の語学レベルに達していること | IELTS General Training:読む・書く・話す・聞く すべてで6.0またはそれ以上 |
3.学歴が右記の(A)(B)両方に該当すること | (A)高校卒業以上の学歴があること
(B)以下のいずれかの機関で自身の学歴の査定し、その結果が提出できること |
4. ポイント制度で67点以上のポイントがある | ※ポイントの計算はカナダ政府の発表を参照ください |
5. 自己資産が規定以上あること | 移民後に自分と家族の生活を支える資金が少なくとも約6か月分あることを証明すること
(ただし、現在カナダで合法的に就労が可能な方、Job offerがある方はその限りではない) |
6. ケベック州以外に住む予定であること | – |
参照:https://visajpcanada.com/permanent/fsw/
IELTSの条件について確認すると、「IELTS General Training:読む・書く・話す・聞く すべてで6.0またはそれ以上」とあるため、オーバーオールスコアではなく、各セクションで6.0以上を取得する必要があることがわかります。
カナダへの永住権申請を視野に入れている場合は、各セクションまんべんなく対策をすることがポイントです。
オーストラリアへの永住権申請条件とIELTSスコア
オーストラリアへの永住権はさまざまな種類がありますが、今回はスポンサーを必要とせず、自力で取得可能な永住ビザである技術独立永住ビザについて、条件をまとめました。
1.ビザ申請時に45歳未満であること |
2.規定以上(IELTS6.0点以上)の英語能力があること |
3.移民職業リスト(Skilled Occupations)に載っている技術者である
※移民職業リストはオーストラリア政府の発表を参照ください。 https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/working-in-australia/skill-occupation-list |
4.移民職業リストに載っている職種にて技術査定に合格していること |
5.ポイントテストにて合格点を獲得すること(合格点:65点以上) |
参照:https://www.auvisa.jp/visa/aus_skill.html
IELTSの条件について確認すると、オーバーオールスコアで6.0以上となっており、英語能力については比較的低めに設定されています。
しかし、条件5つ目に記載されている“ポイントテスト”では、IELTSのスコアによって加算されるポイントが異なっています。
IELTS6.0点→0点、IELTS7.0点→+10点、IELTS8.0点→+20点となっています。
そのため、ポイントテストのそのほかの条件で合格点である65点を満たすことが難しい場合には、IELTSのスコアアップでポイントテストの条件を満たすことも視野に入れることも可能です。
ニュージーランドへの永住権申請条件とIELTSスコア
ニュージーランドへの永住権はさまざまな種類がありますが、今回は多くの日本人がニュージーランド永住権を申請する際に選択する、一般技能移民部門(Skilled Migrant Category)の永住権申請について、条件をまとめました。
1.ニュージーランド国内で、技術職の仕事についているか、もしくは内定していること |
2.IELTS General Training 6.5以上 |
3.健康であること |
4.無犯罪であること |
5.資格が必要な職業の場合、ニュージーランドで有効な資格があること(教師や医師など) |
6.移民局によって定められた自己査定が160ポイント以上あること |
参照:https://newzealand-ryugaku.com/life/nz-pr/
IELTSの条件について確認すると、オーバーオールスコアで6.5以上となっています。
イギリスへの永住権申請条件とIELTSスコア
イギリスへの永住権はさまざまな種類がありますが、今回は多くの日本人がイギリス永住権を申請する際に選択する、就労ルートについてご紹介いたします。
※就労ルートについても、ビザの種類によって細かく申請条件が異なるため、ここでは主な条件という形でご紹介しています。
1.住権取得資格のあるビザで満5年間(または10年間)継続して英国に居住していること |
2.ポイント制システムでの申請の場合、特定の最低所得要件(財務面やビジネス面の条件)を満たしていること |
3.過去5年間継続してイギリスに滞在していること(不在期間がある場合はその理由が明確になっていること) |
4.Life in the UKに合格すること |
5.英語の十分な知識があること(IELTS Life Skills B1) |
永住権取得にあたって、IELTS Life Skills B1を受験することで英語力を示す必要があります。
IELTS Life Skills B1はスピーキングとリスニングの能力を証明するテストとなっています。
通常のIELTSと異なり、バンドスコアが与えられるのではなく、「Pass」または「Fail」のみが結果として返却されます。
イギリスへの永住権申請は、基本的にはイギリスに5年以上の居住が条件となるため、永住権取得の前に就労によって滞在をする必要があります。
就労ビザ申請時に、IELTS試験のバンドスコアが必要となりますので、永住権申請の前段階としてIELTSのスコアが必要、という点を押さえておきましょう。
当サイトでは、実際に渡英した後の生活についてもご紹介しています。
ぜひ、こちらの記事も併せてご覧ください。

まとめ
いかがでしたか?
永住権は、国・職業によって異なりますので、まずはきちんと自分が永住権の申請を希望する国を定めておくことが必要です。
まだ具体的には永住権を申請する国が決まっていない、という場合には、まずは申請可能な国が多いIELTSの試験対策から開始し、永住権申請の準備を進めることをおすすめします。
当サイトでは、他にもIELTSの勉強法についての記事を多く掲載しています。以下に、当サイト内でご紹介しているIELTSの勉強法をまとめたページを記載しますので、ぜひご覧ください。
