日本の確定申告時期は2月〜3月15日(※曜日によって変動)ですが、
サラリーマンの中には、会社が年末調整をしてくれるので特にやることはない、と思い込んでいる人が多いのではないでしょうか?
所得控除をしっかりと把握しておくことで、払いすぎた税金がより還付されることがありますので、本記事では所得控除の中でも「人に関する控除:家族編」についてまとめましたのでご参考にしていただけますと幸いです。
「人」に関する所得控除
人に関する所得控除には下記があります。(今回は家族編を解説)
対象/種類 | 対象 | 控除の種類 |
人 | 誰でも | 基礎控除 |
家族 | 扶養控除 | |
配偶者控除 | ||
配偶者特別控除 | ||
本人 | 障害者控除 | |
寡婦控除 | ||
ひとり親控除 | ||
勤労学生控除 |
誰でも該当する所得控除
基礎控除
基礎控除とは、令和元年分以前の基礎控除額は一律で38万円でしたが、2018年の税制改正によって令和2年分(2021年確定申告分)からは合計所得金額に応じて控除額は分かれる形になりました。
合計所得金額 | 基礎控除額 | |
改正後 | 改正前 | |
2,400万円以下 | 48万円 | 38万円 |
2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 | |
2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 |
多くの人は合計所得金額が2,400万円以下に該当すると思いますので、48万円が控除額になります。
基礎控除に関する国税庁HPはこちら
家族に関する所得控除
扶養控除
扶養控除とは、「控除対象扶養親族」を扶養している人が受けることができる控除のことです。
「扶養対象扶養親族」とは、下記要件に全て該当している人で、その年の12月31日現在で16歳以上の人のことをいいます。
・配偶者以外の親族等で納税者と生計を一にしている
※同一生計であり、同居が要件ではありません。
別居をしていても毎月仕送りをしていれば控除の対象となります。
送金明細もきちんと残しておくようにしましょう。
・年間の合計所得金額が48万以下
よく年間の収入が103万円以下であれば扶養控除の対象になると認識されていますが、正確には年収103万円-給与所得控除55万円=48万円で、
48万円以下の要件を満たすため分かりやすく103万円と言われています。
ですので、自営業でも売上が103万円以上あっても経費を差し引いた残りが48万円以下になれば扶養控除の対象になるということになります。
・青色事業専従者として給与の支払いを受けていないこと
自営業をされている方で、「家族従業員として給与をもらっていないこと」という意味になります。
扶養控除の控除額
一般の扶養控除対象扶養親族とは
上記の4つの要件を満たしている親族のことです。
特定扶養親族とは
上記の4つの要件かつその年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人がいれば、特定扶養親族の金額が控除額になります。
老人扶養親族とは
上記の4つの要件かつその年12月31日現在の年齢が70歳以上の人のことをいいます。
注意点としては同居しているケースと同居以外のケースで控除額が変わるということです。
病気の治療のための入院で長期にわたったとしてもそれは同居扱いすることができますが、老人ホームなどの場合は同居扱いすることができません。
扶養控除に関する国税庁HPはこちら
column
所得とは?
所得とはサラリーマンであれば、
給与収入-控除=給与所得
事業であれば、
売上-経費=所得
になります。
配偶者控除
配偶者控除とは、「控除対象配偶者」いる場合に受けることができる控除のことです。
「控除対象配偶者」とは下記要件に全て該当している人のことです。
・民法の規定による配偶者
※内縁関係は対象外になります。
・同一生計であること
・年間の合計所得金額が48万円以下であること
・青色事業専従者として給与の支払いを受けていないこと
自営業をされている方で、「家族従業員として給与をもらっていないこと」という意味になります。
配偶者控除額

老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
「配偶者」の扶養には2種類ある!!
一般的にあまり知られていないことがは「配偶者」の扶養には2種類あるということです。
税金上の扶養 | 社会保険上の扶養 | |
得する人 | 扶養する人 | 扶養される人 |
内容 | 配偶者控除 | 社会保険料がタダになる |
条件 | 扶養される人の年収が103万以下 | 扶養される人の年収が130万未満 |
大きな違いとしては、
税金上の扶養では、扶養する側の節税になります。
社会保険上の扶養では、扶養される側の社会保険料がタダになりますので、扶養される側に得があります。(健康保険や年金を払わずに済む)
収入面における該当条件の違いとしては、
税金上の扶養では、扶養される側の年収が103万円以下(※正確には年間の合計所得金額が48万円以下)であること、
社会保険上の扶養では扶養される側の年収が130万円未満である必要があります。
社会保険上の扶養の例外!!
扶養される側が下記の要件を全て満たしている場合には、年収が106万円以上で扶養から外れることになります。
つまり、配偶者自身で社会保険料を支払う必要がありますので覚えておきましょう。
・正社員が501人以上の会社に勤務している
・収入が月88,000円以上ある
・雇用期間が1年以上である
・学生ではない
・所定労働時間が週20時間以上ある
配偶者控除に関する国税庁HPはこちら
配偶者特別控除
配偶者特別控除とは、配偶者控除で年間の合計所得金額が48万円以上、
年収でいくと103万円以上、配偶者が稼いでしまった場合に、ある水準まではもう少し控除を認めてあげようという控除種類になります。
該当要件はいくつかあるのですが、
基本的には配偶者控除の要件に追加で、
控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
が、あげられます。
もう少し細かい要件もありますので気になる方は下記の国税庁HPをご参考ください。
配偶者特別控除に関する国税庁HPはこちら
配偶者特別控除の控除額
控除額に関しては、配偶者の103万を超えた分の稼ぎに応じて控除額が変動いたします。
一般的に知られているのは、150万円という数字だと思いますが、下記図表の赤枠に当たる所得がだいたい年収150万円の箇所にあたります。

まとめ
「人に関する所得控除」家族編では、主に年末調整前に会社の経理から連絡があり対応している項目になると思いますので、特にご自身で別途確定申告をする必要はないと思います。しかし、内容を把握することはとても大事だと思いますので、
「これまで年末調整前に記入していた申告書類はこういうことだったのか」
と、理解いただき、主に配偶者控除または配偶者特別控除においては、配偶者の働き方に配慮しながら生活スタイルにあった選択をしていただければと思います。
ふるさと納税に関する記事もありますので、合わせてご参考ください。

