「株式投資を始めたいけど、どんな手法があるか分からない」
このような悩みをよく聞きます。
投資手法を大きく分けると、「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の2つに分けられます。
本記事では、これら2つの分析手法がどのようなものなのかを解説し、私が実践してきたことをご紹介します。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、未来の株価を様々な経済指標から予測する分析手法です。
会社は利益をあげることを最終目的としており、基本的に利益を多くあげれば株主に利益分が還元されるので、その会社の株は人気を集め、株価が上がります。
しかし、業績のいい会社の株が必ず上がるかと言われればそうではなく下がるケースもあります。
なぜ、業績がいいのにもかかわらず株価が下がるのでしょうか。
それは、市場があらかじめその会社の業績を予想し、既に株価が上がっているからです。
そのため、ニュース速報などで「最高益」などのワードが出た際、株を売買する人は「これ以上業績が伸びない」と判断することで、逆に株価が下がる要因になってしまうことがあります。
このことから、株価を決める要素は会社の現在だけでなく「未来」がどうなるかにも関わっていることがわかります。
また、経済環境が株価に与える影響も考えなければなりません。
そのためには、為替や経済成長率、雇用統計などを未来の株価の動きを判断する材料として活用します。
さらに、ファンダメンタルズ分析も2種類に分かれます。
それが、割安株に投資を行うバリュー投資、成長株に投資を行うグロース投資です。
Column
あの世界三代投資家の一人であるウォーレンバフェットは、「バリュー投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアムの元で学んでいたことから、始めのうちはバリュー投資を行っていましたが、後にバークシャーハサウェイを共に築いていくチャーリー・マンガからグロース投資を進められ今ではバリューとグロースを掛け合わせた長期保有スタイルで投資を行っているとのことです。
さて、「買おうとしている会社の株価はお得なのか」このような疑問を持たれている方は多いのではないのでしょうか?
ここでは、その判断基準となる指標について解説していきます。
「割安株」とは、実際の株価が企業価値よりも明らかに低くなっている株のことを指し、割安株を見つけるには、「PER」や「PBR」といった株価指標を使います。
PER(株価収益率)
PER(Price Earnings Ratio)とは、「株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているかを表す指標」で、純利益の何倍の値段がつけられているかを示します。
つまり、PERが低いほど会社が生み出す利益に対して株価が割安、ということになります。
算出方法は、PER(倍)=株価/1株当たり(予想)当期純利益です。
PERだけではなく、分析において大切なことが同業他社との比較になります。
会社四季報などの投資雑誌を見ると気になっている銘柄の競合が確認できるので、ぜひ比較して銘柄選定を行ってみてください。
Column
株式投資に不慣れな間は、株価指標から見た割安株に投資する際、業績が不安定な銘柄は避け、毎期しっかりと利益を上げている銘柄から選ぶことをお勧めします。
特に、PERや配当利回りの面から見た割安株を見つけるには、毎年そこそこの利益を上げていて、配当金も安定しているような企業を対象とすると良いでしょう。
なぜなら、PERや配当利回りは利益や配当金が大きく変動する銘柄に対して、信頼度が低くなり指標として使いづらくなるからです。
PBR(株価純資産倍率)
先ほど説明したPERが利益から株価を判断すのに対し、会社が持っている純資産から株価を判断する指標がPBR(Price Book-value Ratio)です。
これは、「株価が1株当たり純資産の何倍の水準かを表す指標」で、1倍を割り込むと株価は割安とされています。
もう少し具体的に説明すると、株式を保有している会社が「今」解散したときに受け取れる株主の持分を示しています。
PBRが1倍であれば解散したときに株価と同じ分、資産を受け取ることになり、1倍を割っているときは解散した際に得られる取り分の方が株価よりも多いということになります。
ですので、株価<解散価値ということは、今がその会社の底値圏とする見方ができることから、PBRが株価のお得度を判断する指標として扱われています。
その一方、あまりにPBRが低いときは倒産シグナルとして判断することができますので、PBRのみで投資判断をすることはおすすめできません。
算出方法は、PBR(倍)=株価/1株当たり純資産です。
Column
配当利回り
配当金により年利何パーセントの利回りになるかを表す
算出方法は、配当利回り(%)=1株当たり(予想)配当金/株価×100です。
テクニカル分析
ファンダメンタルズ分析が現在の経済指標を頼りにするのに対し、テクニカル分析は「過去の株価動向から未来の株価水準を予測する手法」になります。
株の基本は「安い時に買って高い時に売る」です。
先ほどのファンダメンタルズ分析の中でてきたPER、 PBRで判断できるのは株価のお得度を判断できるわけですが、株価の方向性までを把握できるわけではありません。
そこで、過去の株価動向から今の株価水準をチェックするツールをチャートと言います。
このチャートを使って将来の株価予測を行い売買タイミングの判断を行うことを「テクニカル分析」と言います。
テクニカル分析の中にも2つの系統に分かれます。
それが、「相場の方向性」を判断するトレンド系と、「相場の変化・転換」を判断するオシレーター系です。オシレーター系はまた別の機会に説明しますので今回はトレンド系を中心に解説していきます。
トレンド系のチャート
トレンド系のチャートの代表例として、ローソク足と移動平均線をご紹介します。
ローソク足

(画像掲載元: マネックス証券)
チャートにおいて最も一般的なものが「ローソク足」です。
その形がローソクに似ていることからローソク足と言われていますが、このローソク足1本から4つの株価を現しています。
株式投資を考えている人は必ず覚えておく必要がありますので、慣れるまでは頑張って覚えましょう。
ローソク足を見ることで、次の4つの情報がわかります。
①「始値」:株式市場において最初に売買が行われた値段
②「終値」:株式市場において最後に売買が行われた値段
③「高値」:株式市場で行われた売買の中で一番高い値段
④「安値」:株式市場で行われた売買の中で一番安い値段
日ごとの「ローソク足」を日足といい、週ごとなら週足、月ごとなら月足と言います。
それぞれの投資手法に合わせて、長期投資の際は週足や月足を、短期投資であれば日足や1時間足を目安として使います。
ローソク足には様々な形があり、それぞれにシグナルがあります。
これらを活用することで、一定期間の株価の動きを読み取ることができます。
詳しくは別の記事で解説いたします。
移動平均線

(画像掲載元: みんなの株式)
チャートを見ると、1本1本のローソク足の他になだらかな曲線が描かれておりこれを「移動平均線」と言います。
移動平均線はある一定期間の株価を平均化して描かれた曲線で、「5日」「25日」と期間の設定ができ、25日線であれば過去25日間の終値の平均を求めています。
ローソク足がある一定期間の株価の動きを読み取るのに対し、移動平均線は大まかな株価の動きを掴むことができる点がポイントで、移動平均線が上下どちらを向いているかを知ることで、株価のトレンドを把握することが可能です。
上昇トレンドと下降トレンド
移動平均線が上昇トレンドにあるときは曲線が右上に向かいます。
反対に、下降トレンドにあるときは右肩下がりになるため、視覚的に分かりやすい指標となっています。
また、上昇トレンドのとき株価は移動平均線の上にありがちで下降トレンドのときは移動平均線の下側で株価が推移していることが多いです。
また、移動平均線は方向性を探るだけではなく、移動平均線と株価の位置関係(乖離)から「上げすぎ」「下げすぎ」を判断することができます。
私が実際に勉強してきたこと
ファンダメンタルズ分析:書籍+簿記(財務諸表を読む力)
テクニカル分析:書籍+YouTube
余談ではありますが、ここからは私が株式投資を始めるにあたってどのような勉強をしてきたのかをご紹介します。
私が株式投資を始めた時期は大学3年生のころで、始めは本屋で一冊の本を手に取り株式投資の概要を学びました。
内容としては、まさに本記事でも紹介しているような内容ですが始めは専門用語が多すぎて理解するのに時間がかかってしまいました。
それから、ファンダメンタルズをより深く学ぼうと始めたことが「簿記の勉強」でした。
なぜなら、分析において会社の決算書を読み込む必要があり、貸借対照表や損益計算書といった会社の中身を知る必要があったからです。
遠回りに思えますが、この期間は無駄にはならず、プチ自慢にもなりますが日商簿記2級も取得することができました。
その後、上場企業と違い公には開示されない中小企業の中身が知りたくて税理士事務所に勤務することになります。
テクニカル分析を学ぶために行ったことは、書籍+YouTubeなのですが動画が分かりやすかった印象があります。
専門用語になりますが、勉強してきた中でも移動平均線をしっかり理解することが大事でその延長線上に出てくる、「フィボナッチ」と「エリオット波動」は特に実践に活かしやすいものとなっていました。
このような指標もゆくゆくご紹介できればと思いますので、ぜひ投資をする際は検証していただき自分にあった指標を見つけていただきたいです。
投資の成功者・失敗者についての記事も書いていますので、合わせてご参考にしてください。

まとめ
今回は「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の大枠について解説してきました。
ファンダメンタルズでは株価のお得度を、テクニカル分析では株価の方向性と売買タイミングについてざっくりとではありますが分かってもらえたのではないかなと思います。
株式投資において、秒単位や分単位での超短期投資を行う人はテクニカルに重きをおいてトレードしますが、分析手法をどちらかだけで投資判断をすればいいということは基本的に無くて、「ファンダメンタルズ分析」「テクニカル分析」を組み合わせることでより失敗しないための投資を行うことができます。
ですので、ぜひ学んだことをデモトレードなどで試して活用してください!