「IELTSが大学受験で使えるって聞いたけど難しいのかな?」
「留学を考えているけど、高校生のうちからできることはあるかな?」
このような疑問をお持ちの方も少なくないと思います。
この記事ではIELTSという試験にあまり馴染みのない高校生に向けて、高校生のうちからIELTSの対策をすることでそのあと様々なメリットがあるということについて詳しく解説します。
Contents
IELTS の基礎知識
まずはIELTSの基本的な知識からおさらいしましょう。
IELTS とは?
IELTSは世界最大の4技能英語能力を測る試験です。
IELTSには主に海外留学や進学を目指す受験生の英語力を測る「アカデミック・モジュール」とイギリス、オーストラリア、カナダなどの海外移住のためのビザ申請で必要な「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類に分かれます。
以前は留学を目指すために必要なスコアとして一部の限られた人が受験していましたが、近年日本でも英検やTOEICのように英語能力試験として多くの方に認知され始めています。
ここ数年でIELTSスコアは大学受験や留学制度など活用法は多様化してきており、今注目の英語能力試験といえるのです。
IELTSの基本知識については過去記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

IELTSを高校生で受験するメリット
IELTSを高校生で受験する主なメリットを4つご紹介します。
大学入試でIELTS のスコアを利用できる
ここ数年は、文部科学省が”使える英語力”を身につけるという方針を取っているため、従来のような「読む」「聞く」の2技能の評価ではなく、「書く」「話す」も加えた4技能が試験で評価されるようになってきました。
このような幅広いスキルを評価できるテストを作るのも簡単ではないので、民間の試験で代替しようという動きもあります。
そのためにIELTSを大学入学試験の1つとして受け入れる大学も増えています。
IELTSで一定のスコア基準を満たしていれば、大学入試に必要な英語の試験が免除されたり、通常は受ける英語の試験が満点に換算されたりすることができます。
また、IELTSスコアが基準値以上の受験者には他の教科へのスコアの加点ができる場合もあります。
2020年以降大学入試では従来の大学入学共通試験(センター試験)から大きな変動があり、実際に大学個別での入学試験を実施することがより多くなってきているようです。
試験項目には各大学の特色が表れるので自分の強みを生かした受験が可能になります。
たとえば、文系科目で受験する場合、英語は得意でも国語は苦手ということもあるでしょう。IELTSスコアが基準値以上取れれば、その分を国語に加算することができるのです。
大学によってIELTSのスコアに対する優遇制度は異なりますので、一度自分が志望している大学の学部や学科の入試項目をチェックしてみてください!
どの大学でIELTSが使えるかをこちらの記事でご紹介しています。

交換留学に行くチャンスを生み出せる
大学生になって挑戦してみたいことの一つに「海外留学」を挙げる高校生は多いのではないでしょうか。
筆者自身その中の一人でしたので、留学制度が整っている大学を優先的に考え、海外留学を果たすために外国語系の大学を受験しました。
各大学によって交換留学に必要な英語能力試験は異なりますが、
- TOEFL IBT
- TOEFL ITP
- IELTS
などのスコアが必要です。
その中でもTOEFLは主に北米をメインにした留学になるので、ヨーロッパの大学の出願要件としては使えないこともあります。
一方、IELTSのスコアを採用する提携大学は、他の英語能力試験に比較すると多い傾向にあります。
そのため、IELTSを受験しておけば留学先を限定せずに、幅広い選択肢の中から国や留学の大学を決めることができます。
休学しないで安く留学が実現できる
IELTSを利用して交換留学ができれば、自費留学のように金銭的な負担がかかりませんし、休学する必要もありません。
普通に日本で4年間大学に通うことですら約200万〜500万の費用が授業料で発生しているにも関わらず、私費で留学に行くとなるとさらにお金がかかってしまいます。
滞在する国や都市の物価にもよりますが、先進国であれば約1年間の滞在で300万くらいの費用が発生するといわれています。
しかし、交換留学では大学が留学費用の一部を負担してくれるので、費用を最小限に抑えての留学が可能になります。
実際、筆者が昨年まで通っていた大学では留学制度がとても充実していたので、IELTSスコアの基準値を達成すると全額免除でアメリカの大学に行くことができました。
必要だった費用は現地の冬休み中の旅行代と日々の友人と出かけたりする個人の娯楽代くらいでした。
そのため、留学前にアルバイトでお金を貯金するくらいで十分に足りました。
もう一つ問題なのが私費で留学をすると、日本で在籍している大学の休学が必要な場合があることです。
休学を1年間すると周りのクラスの友人と卒業の年がずれたり、休学費用が大学によって20万〜30万円くらい掛かることがあります。
一方で、交換留学は留学中に取得した単位を日本の大学の単位と交換してもらえるので、4年間で卒業することができるというメリットもあります。
大学の成績向上につながる
大学入学時点でIELTSハイスコアを取得していれば、大学の授業や課題に集中して取り組むことができます。
大学ではGPAという評価基準があり、それを各学期ごとに教授たちが数字で成績を提示してくれます。
GPAは就活時には企業によっては重要視されることもあるので、将来の進路のためにも良い成績を取っておくに越したことはありません。
筆者が通っていた大学では、交換留学の応募基準にIELTSのスコアとGPAの両方が含まれていたので、IELTS対策と並行してGPAを上げることに苦労しました。
自分が予想していた倍以上日々の授業の課題が出されたり、そのうえ留学中の娯楽代を貯金するためにアルバイトもしていたので何度か交換留学を諦めそうになりました。
当時「IELTSのスコアを高校生の時に取得していたらどんなに良かっただろうか」と何度考えたことかわかりません。
しかし、現在高校生の方はまだ間に合います。
IELTSスコアの有効期限は2年間なので、高校3年の受験シーズンにスコアを取得しておけば大学2年まで有効です。
もしスコア取得が大学に入ってからになっても、高校生のうちから対策を始めることはだいぶ有利に働くので、早めに始めておくのが良いでしょう。
現役大学生から聞いたIELTSスコア取得するメリットとは?
実際に筆者の知人がIELTS学習に励んでいるので、現役大学生に「高校生でIELTSスコアを取得するメリット」についてインタビューしてみました。
早い段階からレベルの高い英語に慣れることができる
多くの現役高校生が受験する英検とは大きく異なり、IELTSは国際的に認められている英語能力試験なので、高校生のうちから「高いレベルの英語に触れることができる」というメリットがあります。
英単語や英熟語1つにおいても様々なネイティブの言い回しがあったり、エッセイの書き方や構成など、学校では習得できない部分も学ぶことが可能です。
そして、リーディングセクションでは多様な分野のトピックが出題されるため、ただ問題を解くのではなく自分の知識として教養を深めることにも繋がるようです。
英語学習への意識が上がる
例えば部活動のように何か全力で取り組んでいる人たちのコミュニティに参加すると、自然と自分も同じ目標に向かったり、目標としたい先輩に出会えたりしますよね。
同じようにIELTSを勉強している人のコミュニティに参加すると、周りは海外留学や移住など高い目標をかかげている方がたくさんいるので、自らの意識が高められます。
そのため、様々な方と話をする中で、「自分がどんな姿になりたいのか」をはっきりとイメージできるようになりました。
IELTSを高校生で受験する人はどれくらい?
近年約8割の大学が入試時に外部の英語試験を採用しています。
外部の英語試験には主に
- 英検
- TEAP
- GTEC
- TOEFL
- TOEIC
- IELTS
などがありますが、それぞれの受験者数は各大学によっても異なるようです。
立教大学では
- 英検: 67.2%
- TEAP: 23.4%
- GTEC: 3.8%
- TOEFL: 1.2%
- TOEIC: 0.1%
- IELTS: 4.4%。
愛知大学では
- 英検: 84.7%
- TEAP: 1.7%
- TOEFL: 0%
- TOEIC: 0%
- IELTS: 13.6%
と一定の割合で高校生がIELTSを受験に活用していることが分かります。
(出典: 旺文社教育情報センター)
上記は一部のデータではありますが、2020年の一般入試では受験者全体の約8割が英検を外部英語試験として選択しており、IELTSの占める割合はそこまで大きくありません。
世界規模でみるとIELTSの受験者数は増加していますが、日本ではまだ知名度が高くないないことや、IELTS対策用の教材がそこまで普及しておらず、テスト対策がしにくいことが関係しているかもしれません。
一方で国際的に評価がされるIELTSだからこそスコアの活用法は多様です。
それを理解している高校生はIELTSを受験科目として選択しています。
各外部英語試験のメリットを把握した上で今の自分に一番合った方法を選択することが重要ですね。
IELTSのスコア換算の仕方
IELTSの結果は1点〜9点のスコアで提示され、0.5刻みでスコアがつきます。
全体のスコア(これをOverallという)は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのセクションの平均点を四捨五入した値から計算されます。
高校生が目指したいIELTSスコアは?
では高校生が取得しておきたいIELTSのスコアとはどのくらいになるのでしょうか?
IELTS 5.5以上を目指そう
多くの人気大学でOverall 5.5以上のスコアが入試時に求められます。
そのため、5.5以上を目標として目指していくのがベストです。
入試時だけではなく、大学留学制度の基準としてIELTS5.5以上が必要になることが多いので、今後留学を考えている高校生は各大学の留学制度も視野に入れて目標スコアを決めていくと良いでしょう。
高校生はIELTS 初受験でハイスコアを取れる?
IELTSを初めて受験する方でもOverall 5.5は取得可能です。
あくまで参考程度ですが、IELTS5.5を他の英語試験に換算すると下記のようになります。
- 英検2級
- TOEIC600〜740点
- TOEFL IBT 46〜59
IELTSは日本ではまだ普及していないこともあり「敷居が高そう」とマイナスなとらえ方をされがちですが、換算スコアからレベルを判断すると手の届かないスコアではないことがわかります。
ただ、IELTSは学術的なアカデミックの内容になるのでスピーキングやライティングを含む出題形式に慣れる必要はあります。
初受験だとしても受験前はしっかりと対策をして、本番に臨むようにしましょう!
IELTS 各パート内容と5.5取るためのスコア配分
IELTSでOverall 5.5を取るための目安となる各パートのスコアは次のようになります。
リスニング:5.5
リーディング:5.5
ライティング:5.0
スピーキンング:5.0
ライティング・スピーキングは高校の英語でトレーニングをする機会が少ないので5.0を目標とし、リスニング・リーディングで5.5を目指すのが再現性の高い戦略になるでしょう。
リスニングセクション
IELSTリスニングは4つの大問があり問題数は全部で40問です。
最初の30分間は問題に沿ってリスニング聞き、その後10分間は回答を別の用紙に転写する時間として設定されます。
2人の会話や説明文、教授や生徒のように複数人での教育現場における講義内容などがあります。
IELTS特有の時間や電話番号を答える数字問題、建物や人物などの固有名詞を答える問があります。
そのためリスニング中は数字や固有名詞には注意しながら、常に予測をして問題用紙にメモを取ることが必須です。
複数形か単数形なのか細かい単語のスペルも正答数に関わるので、リスニング中は問題用紙に日本語で記載し、後の回答用紙に転写する時間にスペルを正確に書きましょう。
リスニングパートで5.5を取るために、40問中18-22問の正解を目指しましょう。
リーディングセクション
IELTSのリーディングでは3つの長文読解を60分間で行います。
各長文が1000文字程度で、それぞれ問題数が13〜14問あります。
内容としては専門的なトピックが多く雑誌や新聞、記事から転用しているようなものが多いです。
中には注釈がつくような専門的な内容もあります。
穴埋めやパラグラフ一致問題、TRUE-FALSE問題 など出題形式が複数あるのであらかじめ把握するようにしましょう。
リーディングパートで5.5を取るために40問中19-22問の正解を目指しましょう。
ライティングセクション
IELTSのライティングはエッセイを2つ書きます。
1つ目は棒グラフや表を要約するタスクです。
時間は20分で150words以上が必要になります。
ちなみに、英単語1つ=1wordsと計算されます。
「図のどの部分に注目すべきか」や、「どのような構成でエッセイを書くべきか」を理解しているとスムーズに書き出すことができます。
2つ目は社会問題や環境問題などの抽象的な質問に対して、自分がどのように考えるかを述べるエッセイです。
40分250文字以上で書くことが求められます。
「タスクへの返答」「内容の一貫性」「語彙」「文法」の4つの観点から評価されます。
長いエッセイは最初に構成を考えておかないと、徐々に自分が何を主張したいか分からなくなり、論点がずれてきてしまうので、書き始める前に構成を考えておくと良いでしょう。
スピーキングセクション
IELTSスピーキングは3つのパートからなり、約14分間のやり取りになります。
パート1は趣味や出身地、大学の専攻などの日常的な受け答えを見られます。
パート2では数あるトピックからランダムに選ばれた内容について、2分程度スピーチをします。
トピックの例としては仲の良い友達、学校や教育、スポーツについてなどです。
パート3ではパート2に関連した内容を深掘りした質問がされます。
受験者がパート1、パート2で丸暗記をしてきていないか、本当の実力を測るために試験官は臨機応変に質問内容を変えるため対策が難しいです。
そのため丸暗記するのではなく出題形式に慣れ、短文で終わらず一貫性を保ちながら話題を広げることが重要視されます。
自分の意見に加え、その理由や出来事のきっかけ、そこからどのように考察するのかなど、1つのトピックから内容を派生させていけるように練習をするのが良いですね。
採点基準として「流暢さ」「語彙」「文法」「発音」の4点がああります。
IELTSスピーキングバンドスコア5.0は難しい単語を意識しすぎず、問われたことに対して統一性を持ち最後までしっかりと話し終えられれば評価されるでしょう。
IELTSパート別勉強法
上記の各セクションの内容を把握した上で、それぞれの対策法についても別の記事でご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。









初受験が不安な高校生は、Plus one pointでIELTS対策をしよう!
ここまでIELTSの試験内容について理解したものの、いざ勉強を試みると何から始めるべきか分からなかったり、試験までの限られた期間に効率の良い勉強法を定着できなかったりと不安な高校生は多いのではないでしょうか。
英検やTOEICとは異なりIELTSスコアの活用法は多様ですが、ライティングやスピーキングなど独学ではカバー仕切れない部分もあると思います。
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さいごに
IELTS初受験にあたって高校生のあなたが最初に取り組むべきこととして、IELTSのスコアを取得すべきメリットをしっかり理解することです。
大学受験や海外留学、知識の教養など様々なメリットがありますが、今高校生のあなたが数ヶ月後、数年後にどんな自分をイメージするか、漠然とした姿でも良いので少し考えてみるのも良いですね。
高校生のうちにIELTSを受験しておけば、きっとあなたの将来に役立ちます。