2008年から始まったふるさと納税ですが、2014年から右肩上がりにその活用件数が増えています。

ですが、未だに活用したことがない人、よく分からないという方も多いと思います。
そこで、ふるさと納税とはなんぞや、どのようなメリットがあり、どのポイントを押さえればよいかをまとめましたので、今年からぜひご活用していただきたいです。
Contents
ふるさと納税とは?
居住している市区町村に「住民税」を支払う代わりに、他の市区町村に「寄付」という形で同額を支払うことで、住民税を「控除」できるかつ、返礼品をもらうことができるという納税者の権利のことです。
間違えやすい認識として、ふるさと納税=節税と勘違いされる方が多いですが、節税ではありません。
なぜなら、税金が減っているわけではなく、あくまでも支払うべき住民税を前払いしているに過ぎないからです。
また、ふるさと納税には「限度額」というのがあり、限度額以上の「寄付」をしてしまうとその差分(寄付額―限度額)に関しては、単なる寄付になってしまうため注意が必要です。
メリット
①なんといっても「返礼品」を受け取ることができることです。
主な返礼品は「食料品」が中心ではありますが宿泊ペアチケットや工芸品など、様々な返礼品が揃っています。
②「クレカのポイントも貯まる」ということで、ポイント還元率が高い楽天カードなどでふるさと納税を活用するとポイントも貯まりやすくなります。
③高額所得者は、ふるさと納税限度額の枠も超過累進税率と同様な動きで上がっていきますので有利です。
コラム-超過累進税率とは?-
超過累進税率とは、所得税の税率に関して、所得が多くなるに従って段階的に高くなり納税者がその支払能力に応じて公平に負担する仕組みのことです。
超過累進税率速算表の詳細はこちら。
デメリット
①2,000円は自己負担していただく必要があります。
②翌年に支払う住民税を「寄付」という形に変えて前年に前払いをするということで資金繰りには注意が必要です。
③返礼品が一定額を超えると一時所得として所得税や住民税が課税されます。
しかし、上記に関してはほとんどの方が対象から外れるため、覚えておかなくても大丈夫です。
どれくらいの所得水準の人が対象になりうるかと言いますと、だいたい年収が4,000万円前後の方が対象となる可能性がありますので、目安としてご認識ください。
限度額を知ろう!
正確な限度額を把握することが難しい・・・
ふるさと納税を行うためには自分がいくらまでの限度額なのかを把握する必要があります。
ここで注意していただきたいことが、正確な限度額を把握することは少し難しいという点です。
なぜなら、源泉徴収票が必要になるからです。
多くの企業では年末調整を終えた後に受け取ることがほとんどですので、12月や1月に受け取る方が多いと思いますが、源泉徴収票は、遅くとも翌年の1月31日までには交付されます。
しかし、ふるさと納税が税金控除の対象となる期間は、「毎年1月1日から12月31日」に寄付をした金額が控除の対象となりますので、源泉徴収票をもらう前には申請を済ませておいた方がいいことから、正確な限度額を把握することが少し難しいと言えるでしょう。
限度額を把握するには
ふるさと納税をしている多くの方は、概算の限度額を目安に寄付をしており、概算の値は各ふるさと納税サイトが提供している簡易シュミレーターで計算することが可能です。
簡易シュミレーターで算出するための必要な項目は、年収(※手取りではなく総収入)、家族構成(独身or既婚)、扶養家族の3つを埋める必要があります。
※総務省が提供しているExcelでのシュミレーターでは寄付予定額まで記載
実際に例に出して埋めてみましょう。
Aさんの情報
年収:400万円
家族構成:既婚→共働き(※配偶者の給与収入が201万円以上なら共働き)
扶養家族:あり→(1人/中学生以下)
上記のような場合、計算された限度額は
自己負担2,000円を含めた控除上限額(限度額/目安)は約44,000が目安になります。
ですので、40,000円くらいを寄付額に当てると限度額内でふるさと納税を活用することができるでしょう。
ここで注意いただきたいのが、ここでの計算はあくまで概算のため限度額をギリギリを寄付額として設定しないことです。
念のため総務省が提供しているシュミレーターでも上記同様に当てはめてみました。
その結果、赤枠①からも分かるように寄付額が43,000円だと自己負担額を超過しています。

このように約1,000円のズレが生じているわけですので、この場合でも約40,000円を寄付額として設定することが妥当と言えます。
なぜ簡易なの?
ネット上にあるシュミレーターに簡易記載が多い理由としては、万人が当てはまる控除項目である配偶者控除と扶養控除のみを加味している点が挙げられます。
しかし、厳密には生命保険料控除やiDeCo、住宅ローン控除など様々な控除が存在しており当てはまる人も多いと思います。
そのような時に使用できるのが詳細シュミレーターです。
ほとんどのふるさと納税サイトには簡易シュミレーターの他に、詳細シュミレーターを備えているサイトも多いですので、ぜひご活用いただきたいです。
詳細シュミレーターでの記載項目
ここでは楽天詳細シュミレーターを例に紹介します!

はじめに支払金額を入力します。
基本的には源泉徴収票のデータを入力することになるのですが、手元にない人は概算で年収を計算して記載してください。
注意点としては、手取額を記入しないことです。
続いて、給与所得控除後の金額という欄ですが、こちらは国税庁が提示している給与所得控除額の確認表と照らし合わせて計算します。

例えば、先ほど同様年収400万円だとすると、確認表の赤枠に該当するためその隣の計算式に数字を当てはめるとそれが控除額になります。
計算してみると、
4,000,000万円×20%+440,000円=1,240,000円
ですので、給与所得控除後の金額に記入する数字は年収400万円から124万円を差し引いた276万円となります。
次に所得控除額の合計額ですが、こちらは基礎控除額の確認表がありますのでそちらから該当する控除額を記入してください。
多くの方は年収2,400万円以下だと思いますので48万円を所得控除額の合計額として記入します。
ここまでが基本情報として最低限埋めていただく項目となります。
それ以降は、様々な所得控除があるのですが該当する箇所のみ埋めていただき、該当なしの箇所は0円を入れましょう。
これまで基本情報入力、所得情報の入力を記載していますが、最後に控除情報の入力を埋める必要があります。
比較的該当者が多いであろう住宅借入金等特別控除額、医療費控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、社会保険控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)、生命保険料控除、勤労学生控除のみ説明いたします。

住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築をした場合に、一定の要件を満たせば、所得税額から控除できるものです。
控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額や居住した年により算出されますので、金融機関から発行される「住宅ローン等の年末残高証明書」を用意しておきましょう!
医療費控除
医療費控除とは、その年に支払った医療費が一定額を超えるときに受けることができる控除です。
医療費控除の対象には要件があります。(※下記詳細)
①納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
つまり、家族の分を合算することができるということです。
②その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象になります)
医療費控除の対象となる金額
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
実際に支払った医療費の合計額-⑴の金額-⑵の金額
⑴保険金などで補填される金額
(例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額医療費・家族医療費・出産育児一時金など
(注意)保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引けません。
⑵10万円
(注意)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
配偶者(特別)控除
配偶者(特別)控除とは、配偶者がいる場合に一定の所得控除が受けられるものです。
控除対象配偶者の要件範囲は下記です。
①民法の規定による配偶者であること
※婚姻届によって成立した夫婦をさし、内縁関係にある夫や妻は除外される
②納税者と生計を一にしていること
③年間の合計所得金額が38万円以下であること(2020年分以降は48万円以下)
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申者の事業専従者でないこと
扶養控除
扶養控除とは、扶養親族となる人がいる場合に、受けることができる控除です。
控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により変わります。
国税庁:扶養控除の詳細はこちら
社会保険控除
社会保険控除において、控除できる金額はその年に実際に支払った金額または給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額です。
源泉徴収票の「社会保険料等の金額」または毎月の給与明細の社会保険料金額を合算して入力すれば問題ありません。
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)
iDeCoのメリットの1つは、掛金が全額所得控除の対象であることです。
ここではiDeCoの深堀はしませんが、行っている人は「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきますので、そちらを参考に数字を入力してください。
生命保険料控除
生命保険料控除とは、納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に受け取ることができる控除です。
契約時期、支払金額により控除が異なります。
必要な書類は保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」と、「給与所得者の保険料控除申告書」があると便利です。
生命保険料控除証明書を元に、保険料控除申告書を埋めて、算出した控除額を詳細シュミレーターに入力する流れです。
給与所得者の保険料控除申告書はこちら
勤労学生控除
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の27万円の所得控除を受け取ることができます。
対象となる範囲は下記です。
①給与所得などの勤労による所得があること
②合計所得金額が75万円以下で、①の勤労による所得が10万円以下であること
(例)給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。
③特定の学校の学生、生徒であること
国税庁:勤労学生控除詳細はこちら
ここまでを埋めていただき、「計算する」をクリックするとより詳細な限度額を知ることができます。
楽天ふるさと納税シュミレーター以外にも、ほとんどのシュミレーターが上記の手順で限度額を求めることができますので、ぜひご活用ください。
まとめ
以上、ふるさと納税についてのメリット、デメリット、そして限度額の求め方までを説明いたしました。
「ふるさと納税」は聞いたことがあるが、まだ試したことがない人、
「どうせ難しいんでしょ」と諦めてしまっている人、
ぜひふるさと納税を活用し、そのメリットを受けましょう!
ふるさと納税にまつわる良くある疑問については下記の記事で解説しています。

ふるさと納税を行う上でのポータルサイトや申請方法に関しては下記の記事をご参考ください。

また、副業で収益アップを達成するための記事などについても紹介しています。


