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【書籍要約】「欲しい」の本質-人を動かす隠れた心理- インサイトの見つけ方

いぬ
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「既存の製品とは全く違うイノベーティブな商品開発をしたい」

「潜在ニーズを読み取る方法を知りたい」

そのような悩みに答えを示してくれるのが、この記事で紹介する【「欲しい」の本質 人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方】です。

 

本書はマーケティングの専門書として「顧客がまだ言葉にできない欲求をどう満たすか」を再現性の高い方法で解説しています。

この記事ではその概要を解説します。

本書の要点

まず本書では社会の成熟度合いによって、求められる製品の質が変わると述べています。

昭和のようにわかりやすいニーズが周囲にゴロゴロ転がっている時代には、製品の目的は「その問題を解決することに特化」していれば、それだけで売れました。

しかし、現在は新たな技術の登場によって、問題が次々と解決され、あっという間に製品が陳腐化してしまいました。

成熟した社会では、製品を進化させて小さな差を競い合うのではなく、顧客の潜在ニーズ(=インサイト)を定義し、その欲求を満たすことに特化することでイノベーションを起こすことができるとされています。

インサイトを見つけて成功した例としてAKB48が挙げられます。

これまでのアイドルは会えないことが前提でしたが、それによって「アイドルに会いたい」「成長を見守りたい」というインサイトが生まれました。

そこを満たすような施策として、定期的に劇場で講演をする、メンバー数を大幅に増やして自分の推しメンを応援する仕組みを作るなどを行ったことにより、爆発的なヒットにつながりました。

インサイトを見出すにはどのような調査が必要でしょうか?

よくある間違えは顧客に直接聞くことです。

興味深いことに、質問を投げかけられると顧客は本来の欲求とは異なる理性的な答えを返してしまうのです。

マクドナルドの例を見てみましょう。

顧客に「どのようなハンバーガーを食べたいですか?」とアンケートしたところ、多くの人が「ヘルシー」「低カロリー」といった回答をしました。

そこで健康路線を打ち出した商品を販売したところ、驚くほど売れませんでした。

一方で、肉肉しい商品を売り出した際には大ヒットを記録しました。

ここから分かるのは、実は顧客は「カロリーなんか気にせず、大きなハンバーガーを頬張りたい」という本心があるにも関わらず、理性や意識によってそれらを上書きしてしまっているということです。

そのため、インサイトの発見には「顧客の観察」が必要不可欠なのです。

本書ではインサイトに辿り着くための系統的な方法を説明しています。

インサイトを構成する4つの要素

本書ではインサイトの定義を「人を動かす隠れた心理」としています。

さらに言えば、インサイトは事実と感情がセットになって生まれたものです。

この事実と感情をさらに分解すると、次の4つの要素に分けられます。

・場面

・源泉要因

・感情

・背景要因

4つの因子を具体的に解説していきます。

場面とは感情が生まれた場面を指します。日時、季節、エリア、誰といたか、何をしていたかなどを含んでいます。

源泉要因とは感情を生み出す元となった直接的な原因を指します。事実、行為などを含んでいます。

感情は文字通り、その時どう感じたかという気持ちを指します。

背景要因は感情がある価値観(満足や不満)に繋がった背景を指します。社会的通年や、周囲の環境、人間関係などを含みます。

これらをはっきりと言語化することにより、インサイトをより端的な言葉で表せるようになります。もしあなたが「これはインサイトでは?」というものを見つけたら、必ず4つの因子に分けてみましょう。

インサイトの3つのタイプ

全てのインサイトは次の3つに分類することができます。

・価値

・不満

・未充足欲求

これらは感覚的にも分かりやすいですね。具体例をみていきましょう。

価値のインサイトはキットカットが挙げられます。受験シーズンには定番のお菓子となったキットカットは、「受験に勝つ」というメッセージを体現できるものとして価値を提供しています。

ちなみに前項の4つの要因と合わせて考えると、

場面: 勉強の合間に一息入れるとき

源泉要因: キットカットをパキッと折る

感情: 心がふっと軽くなり、ストレスから解放される

背景要因: ストレスだらけの毎日、受験に悩む

という前提があることが分かります。

 

不満のインサイトにはお茶漬けが挙げられます。一人暮らしでお茶漬けを食べると、なんだか寂しい気がするという不満が潜在的にありました。

4つの要因との対応は、

場面: 一人でお茶漬けを食べるとき

源泉要因: 顆粒のカサカサという音が

感情: 孤独で寂しい感じがする

背景要因: 孤独化

というものがあり、生タイプのお茶漬けというアイディアにつながりました。

 

未充足欲求のインサイトにはお日様の香りの柔軟剤が挙げられます。

4つの要因との対応は、

場面: 洗濯物を取り込んでたたむ時

源泉要因: お日様の匂いが

感情: 気分を上げてくれる

背景要因: 家事や育児の面倒くささ

というものがありました。見事に顧客の欲求に気づき、大ブレイク商品を発売することができました。

インサイトを得るためには「人間を見る」

インサイトを起点としたビジネスの走りとして、本田技研工業創業者である本田宗一郎氏の言葉が参考になります。

研究所は人間の気持ちを研究するところであって、技術を研究するところではない。研究所の技術者が第一にすべきことは、お客様の心を研究し、お客様に喜んでもらう将来価値を見つけること。それが分かったら、手段である技術を使って、その将来価値を実現すれば良い。

この言葉はフィーチャーホンが主流の時代に、人間を観察し尽くしてiPhoneを開発したスティーブ・ジョブズの視点に共通するところがあります。

インタビューによって製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのか分からないものだ。

重要なことはブランド、競合、市場、特定のユーザーに着目するのではなく、人間そのものを見ることです。

さらに言えば、人間の「興味や関心」と調べたい対象の関係を考えることで、新たな発見が得られるようになります。

オポチュニティ発見の仕方

インサイトの芽のことを本書ではオポチュニティ(機会)と名付けます。

オポチュニティを見つける方法として2軸分析法が上げられます。

2軸分析法とは商品に関わる2つのパラメーターを設定し、その図の上に事象をプロットしていくことです。

例えば加齢に関連する商品を開発する場合、1つの軸に性別を、もう1つの軸に加齢への抵抗感を取ってみると次のような図が出来上がります。

大きく分けて4つのグループに分けることができます。

既存の商品との対応をみると、「男性」かつ「エイジングを楽しむ」グループの欲求にアプローチしたものがないことが分かります。

この分析をオポチュニティと捉え、インサイトへ一歩思考を進めた結果、「白髪を隠さず、全体を銀髪にしておしゃれを楽しむ」ワックスが開発されました。

インサイトを満たすアイディアの評価

インサイトを評価する際には「購買意向」と「新規性」をパーセンテージでつけてもうのが良いでしょう。

得られた意見の平均が、上図のようなAからDの領域のどこに入るかを確認することで、そのアイディアの質を評価することができます。

適切にインサイトを定義することができていれば、あとはアイディアを複数出すことによって、最も良い解決法を見つけることができるとされています。

まとめ

既存の製品の改良からではイノベーションを起こすことはできません。

イノベーションの鍵はインサイトを定義することにあります。

インサイトを見つけるには人を観察し、まだ本人でさえ気づいていない欲求を発見する必要があります。

インサイトを見つけた後にはアイディアを複数用意し、妥当性を検討してみましょう。

本記事で紹介できたのはインサイトを発見するメソッドのうちのほんの一部です。

ぜひ本書を読んで詳細に目を通してみてください。

本サイトでは書籍紹介記事も書いていますので合わせて参考にしてみてください。

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