英語学習

【高校生を対象にした大規模調査】英語学習における10の課題とその対策法

日本人で英語を学ぶ人の多くは、文部科学省の定めた指導範囲に基づいて中学・高校の6年間、”科目としての英語”に取り組んでいます。

誰もが同じ指導要領に基づいて学習を進めているため、苦手とする事柄も自然と似通ってきます。

つまずきやすいポイントを知って、その対策を効率よく進められたら、英語がもっとできるようになりますよね。

そこで本記事ではベネッセが2019年に行なった英語学習に関する大規模調査「高一英語学習に関する継続調査2019」で明らかとなった、「英語学習におけるつまずきポイントベスト10」をご紹介し、それに対する対策法をご紹介します。

苦手意識を感じる事柄の約半分は「読む能力」に関わる

まずは調査結果を示したグラフを見てみましょう。

1位から10位は次のようになります。

第1位: 文法が難しい
第2位: 英語の文を書くのが難しい
第3位: 英語の発音が難しい
第4位: 単語を覚えるのが難しい
第5位: 単語のつづりを覚えるのが難しい
第6位: 英語を話すのが難しい
第7位: 英語のテストで思うような点が取れない
第8位: 英語を聞き取るのが難しい
第9位: 毎週ある英語のテストのための勉強が大変
第10位: 教科書の本文を理解するのが難しい

このうち「文法が難しい」「単語を覚えるのが難しい」「単語のつづりを覚えるのが難しい」「毎週ある英語のテストのための勉強が大変」「教科書の本文を理解するのが難しい」の5項目は主にリーディングの能力に関するものです。

つまり、多くの方が高校1年生の時点で英語を読むということに強い苦手意識を感じていることがわかります。

これは日本の英語教育が筆記試験を中心とした「リーディング能力一辺倒」のカリキュラムであることと関係している可能性が高いです。

現在では”英語を使って英語を教える授業”などを積極的に取り入れようとしていますが、あまり徹底されているとはいえず、多くの学校では従来の教育体制のままというのが実情です。

第一位: 文法が難しい

ここからは多くの人が苦手意識を持つ事柄の対策を順に挙げていきます。

80%以上の学生がつまずくとされているのが文法です。

この理由は高校1年生のカリキュラムにSVやSVOCなどの「文型」が含まれていることが理由のように思います。

文型は言語を体系だてて考える上で非常に便利なツールであり、正しく理解することで非ネイティブであっても文法上の誤りを防ぐことができる有用な考え方です。

しかし、あくまでも言語という慣用的なシステムのルールを後追いで探したものが文型なので、「giveは目的語をとる」「arriveは後ろにatがいる」などのように個別の事柄を暗記していくのは無機質でつまらないやり方になってしまいます。

そこでオススメするのが「とりあえず必須のルールだけ覚えて、あとは文章を読む中で身につけていく」という方法です。

文法は覚えければならないことは確かにありますが、巷に溢れる分厚い文法書をやりこむような遠回りな方法は最初は必要ありません(文法問題がよく出題されるような大学を受験する場合などにはその時にやればいいと思います)。

まずはさらっと必須項目だけを覚えられるように、薄い文法問題集を解いていくのが良いでしょう。

ポイントは「薄いこと」と「なぜその答えになるのかという考え方が載っていること」の2点です。

厚い問題集は心が折れますし、問題集ではなく文法書を読んでいくだけではなかなか身につきません。文法書は参照用の資料として使いましょう。

この2つを満たすのが「英文法レベル別問題集」です。

1週間程度でさらっと解ける分量であることに加え、解説が非常にわかりやすいです。

まずはこういった問題集を解いて必須項目だけインプットしていきましょう。

第2位: 英語の文を書くのが難しい

英語の文を書くというのはおそらく英作文や並べ替え問題のことを指していると思われます。

このプロセスは次のように分けられます。
・言いたいことが日本語で表現できる
・対応する英単語がわかる
・英語として自然な語順を構成できる

学習者によって3段階のうちのどこが難しいかは異なるのですが、少なくとも「日本語でこう言おう」というのがはっきり決まっていた場合に問題となるのは「単語」と「英文の構成」の2つになります。

単語は覚えましょうとしかいえないのですが、高一生のテスト等で出てくる単語は教科書で触れたものであり、かなり語数も限られているのでここは対策がしやすいでしょう。

英文の構成は「こういう並びになりそう」というのが自然に浮かぶのが理想ですが、浮かばない場合には語順を裏付ける根拠として文法知識が必要となります。

特に英作文として出題されるような文にはポイントとなる文法事項が含まれていることがほとんどなので、上述の問題集などで対策をしておきましょう。

英文法の知識というのは数え切れないくらいあるのですが、授業で扱う文法事項に限ればそれほど多くはないので、しっかりと授業の内容を理解し、市販の問題集をとけばある程度は抜け漏れなく定着させることが可能です。

第3位: 英語の発音が難しい

見たことのない単語だと発音もよく分かりませんよね。

発音記号を習っていないので辞書を引いても読み方が分からず、意味だけを書き写して覚えた気になってしまいます。

しかし英語は使ってなんぼのものなので、発音できないままではほとんど意味がありません。

そこで提案するのが、「ネットで単語を調べて、発音も覚えてしまう」というものです。

上述のように紙の辞書では発音記号が読めないので発音できるようにはなりません。

一方、weblioのようなインターネット上の辞書であれば「発音を聞く」というアイコンがあり、実際にネイティブの人が読み上げてくれる音声を聞くことができます。

今であれば電子辞書でも読み上げ機能のついたものもあるので、そういった機能で代替するのも良いでしょう。

英単語は「書けて」「読めて」初めて意味があるので、発音を1つずつ覚えましょう。

また、英語の発音というのは話しているうちに上手くなっていくものです。

思い返せば中学・高校の間はクラスでほとんど英語を話す時間がなかったので、筆者自身「英語を話す」ということにおいては大きな抵抗感がありました。

それを克服できたきっかけは大学に入って留学生と話すようになったことです。

自分の話す英語が相手に伝わるということが分かって初めて自信が持てました。

なので今の義務教育でも話す機会を増やしていくことで、生徒に自信をつけさせてあげられるといいなと思います。

また、社会人の方であれば格安でスカイプレッスン等を利用することも出来るので、それらを活用して英語を話す時間をなるべく増やすことが、英語を話すことへの苦手意識の克服に繋がるでしょう。

第4位: 単語を覚えるのが難しい

定番の悩みである単語の暗記ですね。

具体的な手順は過去に記事にしていますのでそちらも参考にしてみてください。

【英単語を効率的に覚える】4400語を30日間で暗記するための具体的な手順 本記事では大量の単語を短期間で覚えるための手順を解説します。 筆者はこの方法を実践することによりIELTS用の単語...

特に重要だと思う点を改めて挙げると、

・まずはその単語の1つの意味だけを覚える

・対義語や類義語も一緒に覚える

・何度も見て覚える

の3点になります。

単語は複数の意味を持つことが多いですが、中心となる意味を1つ押さえておくと、別の意味で使われている際にそれを推測しやすくなります。

最初から意味を全部覚えようとするのではなく、1つだけ覚えておいて、残りは出てきた時に覚えれば問題ありません。

単語の成り立ちにも規則があるので、対義語や類義語を調べておくと1つの単語から派生していくつもの単語を簡単に覚えることが可能になります。

あとは何度もその単語に触れることですね。

脳の中でも短期記憶を司る領域と長期記憶を司る領域は異なり、何度もその単語を目にすることで場所の移し替えが可能になるそうです。

また、「思い出そうとする」ことで脳がその記憶を重要と判断し、移行の優先度が上がるとも言われています。

英単語を見て意味を思い出す練習や、日本語の意味を見て単語を思い出して書き出す練習などを取り入れるのも良い対策でしょう。

第5位: 単語の綴りを覚えるのが難しい

これは4位とよく似ていますね。

スペルを間違えやすい単語の多くは、「アルファベット読みと単語の発音が異なるもの」です。

例えば「restaurant」や「umbrella」といった単語は日本語の「レストラン」「アンブレラ」からイメージされるスぺルと大きく異なります。

こういった単語はアルファベット読みの方をスペルに合わせて覚えていました。

レストランと書きたい場合には「レスタウラント」、アンブレラと書きたい場合には「ウムブレッラ」と書くように自分に言い聞かせて覚えていました。

もちろん正しいスペルを最初から覚えられたらいいんですけどね。

アルファベット読みと綴りが一致するものに関しては間違えやすいポイント(「RかLか」「liかlyか」など)を意識すれば大方は覚えられると思います。

第6位: 英語を話すのが難しい

英語を話すことが難しい原因には、先ほど挙げた「自信のなさ」に加えて「文章を作る訓練の不足」が挙げられます。

英文を発するというのはいわば高速英作文であるため、その土台には単語力や文法力が必要となります。

ネイティブに近い環境で英語に触れられる人はともかく、そうでない環境の方がほとんどなので、非ネイティブが英語を高速で運用できるようになるためはトレーニングが必須です。

そのためには「英借文」の考え方が重要です。

これは基本となる文章をあらかじめ覚えておき、それを改変して自分の言いたいことを表現するという考え方です。

別の文から大枠を借りてくるという意味で英借文と呼ばれています。

大枠となる文章は「瞬間英作文」を参考にすると良いでしょう。

中学校レベルから高校中盤レベルまでの多彩な例文が載っているので、まずはここに収録されている単語を置き換えていくだけでもかなりの幅の英語が表現できるようになります。

第7位: 英語のテストで思うような点が取れない

英語のテストと一口に言っても、高校の定期試験か民間企業の模擬試験かによって大きく形式が異なります。

まず定期試験の場合、目的は与えられた範囲の理解度をチェックすることになります。

基本的には
・その範囲の新出単語を覚え
・習った文法知識を使える状態にし
・本文の内容を隅々まで和訳できる
ようにしておけば問題ないでしょう。

民間の模擬試験ではピンからキリまでの学生を評価できるように作られているため、難しい問題も含まれています。

模試でいい点を取るためにはより実践的なトレーニングを積むことが求められます。

定期試験攻略の3つのステップに加え、初見の長文問題を週に3題ほど取り組むのが良いでしょう。

問題を解き終わったあとは初めて見る単語を覚え、和訳できない箇所に印をつけます。

文法書で知識を肉付けしながら、全文和訳できる状態にしましょう。

最後に5回ほど音読をしてスムーズに読めるようにするまでが一連の流れです。

問題を解いた後の学習が最も力がつくので、それらをおろそかにしないようにしましょう。

第8位: 英語を聞き取るのが難しい

多くの高校生にとって通常の学校の授業ではリスニングをする機会はほとんどないので、英語を聞き取ることに苦労する方が68%もいることは不思議ではありません。

リスニングも慣れればそれほど難しくはないので、日頃の英語学習の中でリスニングの時間を確保することが最も良い対策と言えるでしょう。

オススメの方法の1つは、オーディオ付きの単語帳を使うことです。

筆者は高校時代に通称「速単」と呼ばれるZ会の「速読英単語」を使っていました。

この単語帳は500文字程度の文章を読みながら、そこに出てきた重要単語を解説するという構成になっています。

付属のCDにはそれぞれの文章のオーディオファイルがあるため、リスニング用の教材として使うことができます。

通学時間などに聞くことで単語の定着とリスニング力のアップに大変役立ちました。

第9位: 毎週ある英語のテストのための勉強が大変

筆者も学校の小テストの対策が一番大変だった記憶があります。

受験勉強に直結しないものも多いので、高校が大量の宿題を強制力を持って課すことには反対なのですが、出されたものはやらざるを得ません。

小テストの形式や準備にかかる時間は担任の先生によるので、ここでは誰もが使える具体的な方法は提示できません。

しかし、重要なこととしては小テスト対策は学校のノルマとしてさっと終わらせてしまい、自分がすべき勉強の時間を確保することでしょう。

そのために「朝の登校中に小テスト対策をする」などのように、ルーティーン化してしまうのが良いかもしれません。

第10位: 教科書の本文を理解するのが難しい

「本文の内容を理解する」という表現をここでは長文読解と考えて話を進めます。

長文問題はまずざっと全体を読んで大まかな流れを掴みましょう。

・何についての問題なのか?

・筆者は何を言おうとしているのか?

という点が明確になると、各段落の役割が見えてきます。

そこから精読として1文1文の意味を正確に訳し、細かい点まで確実に理解していきます。

おそらく本文を理解するのが難しいと考えている方の多くは最初から全文訳を作ろうとしているのだと思います。

そうではなくて大枠を理解することで主張を整理し、そこから細部に目を配ります。

この読み方は本を読むときにも応用できます。

外観を掴んでから具体例を意識することで、インプットした内容をわかりやすく人に伝えることができるようになるでしょう。

まとめ

高校1年生を対象に行なった英語学習に関する調査では、リーディングに関する能力がつまずきやすいポイントのうち約半分を占めていました。

その背景には筆記試験重視の従来の英語教育の弊害があり、「まずは英語を使って意思疎通してみる」という意識が育ちにくいという現状があります。

実際に英語を使うことを通して、単語力や文法力も後付けでいいので伸ばしていくことが大切です。